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地場ビール実現、広がる街の夢 氷川ブリュワリー・菊池俊秀社長 埼玉

 小規模な醸造所で既存製品にはない個性を生み出す「クラフトビール」。氷川ブリュワリー(さいたま市大宮区)社長の菊池俊秀さん(62)は、同市で初となるクラフトビール「氷川の杜」を開発した。大宮の氷川神社の参道近くにある醸造所兼パブで、地元産のクラフトビールを提供しており、ビールづくりによる地域活性化にも力を入れている。

 光学機器メーカー、ニコンの技術者だった菊池さんに転機が訪れたのは平成25年。第二の人生を考えていた頃、JR大宮駅近くの共同スペースに出入りするようになり、そこで地域を盛り上げる団体に参加した。

 当時は大宮駅東口のロフトが閉店し、「駅ナカ」人気で「駅構内から人が出てこなくなるのでは」と地元商店街などが懸念していた。団体のメンバーらが中心となって、歩行者天国でイベントを開催し、打開策を模索したところ、「クラフトビールを通じて市街地を盛り上げようという話が持ち上がった」(菊池さん)。

 どうすれば地域を盛り上げられるか-。菊池さんは思案した結果、地元産の野菜や果物を使ったクラフトビールを通じて、人や企業とつながる姿が頭の中に浮かんできたという。「最初は私一人で夢を描いたが、みんなでプランを読み回していろいろな意見を交わしている間に、みんなの夢に変わっていった」と振り返る。

 その後、菊池さんは「さいたま市ニュービジネス大賞2013」にこの事業プランを応募し、「コミュニティビジネス賞」を受賞。25年12月にニコンを早期退職し、26年1月に氷川ブリュワリーを設立した。

 併設するパブにはモルトとホップを煮込む釜が醸造所のシンボルのように置かれ、店内10個のタップから個性豊かなクラフトビールが注がれる。「氷川の杜~Hana~」などの定番のほか、シナモン、朝鮮ニンジン、クコなどタキザワ漢方廠(しょう)(同区)が調合した漢方を使った「漢万(かんばん)・エール」などユニークなビールもそろえた。

 最近ではさいたま市産の原材料を使った「オールさいたまクラフトビール」を試験的に醸造し、3月にそごう大宮店で試飲会を開催した。県が明治時代に海外から入ってきたビール麦を改良し、品種保存していた「ゴールデンメロン埼1号」のビール麦を原材料の一つに使った。県によると、この品種を使ったビール醸造の記録はないという。

 栽培は、市内の若手農家で構成する「さいたまヨーロッパ野菜研究会」のメンバーが協力。ホップは市の農業試験場「見沼グリーンセンター」で27年から試験栽培している「チャレンジャー」という品種を使用した。これらの原材料を氷川ブリュワリーが醸造し、オールさいたまクラフトビールを振る舞った。菊池さんは市の新たな特産品にすることを目指している。

 また、氷川の杜はさいたま観光国際協会が選定する「第9回さいたま推奨土産品」の金賞を受賞した。菊池さんは「今年はさいたま市産のビール麦の作付面積を増やし、生産性・品質ともに安定させる。東京五輪などを見据え、オールさいたま産のビールをアピールしたい」と意気込んでいる。

 (土持功・東京商工リサーチ埼玉支店長)

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【プロフィル】土持功

 つちもち・いさお 昭和47年、宮崎県生まれ。立正大学卒。平成10年東京商工リサーチ入社。東京支社調査部を経て、27年6月より現職。趣味はサッカー(最近は観戦が主)、ランニング。

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