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【統一地方選】静岡市長選 田辺氏、予想外の苦戦 県との連携など課題山積

 統一地方選は前半戦が終了した。静岡市長選では現職が思わぬ苦戦を強いられた。浜松市長選は現職が圧勝したものの、最大の争点だった行政区再編を問う住民投票で厳しい結果が出された。県議選では自民党が過半数を維持し、国民民主党が議席を減らした。選挙結果を踏まえ、今後4年間の県政と市政の動向を占う。(田中万紀)

 「現市政に厳しい声があることは謙虚に受け止めたい。説明したつもりだが、伝わっていなかったことがある」。3期目の当選から一夜明けた8日、当選証書を受け取った田辺信宏氏(57)は、得票率が50%を下回る苦戦をこう振り返った。その声はがらがらで、顔は浅黒く日焼けして、両目は真っ赤に充血しており、前日までの厳しい戦いを物語っていた。

 一時は無投票との観測さえあった。有力対抗馬と目されていた難波喬司副知事が、2月になって不出馬を表明。告示1カ月前に77歳の天野進吾氏が出馬表明したものの、準備不足と高齢は疑いようもなく、楽勝ムードが漂った。陣営幹部からは「勝つのは当然。圧勝しなければ」との発言さえ飛び出した。

 ところが、いざ選挙戦が始まると様相は一変する。自民党に加えて400以上の企業・団体の推薦を得て鉄壁の組織戦を展開する田辺陣営に対し、天野陣営は昔からの熱烈な支援者が手弁当で活動することで、じわじわと支持を拡大していった。天野氏本人は、体力を考慮して1日2~3回に抑えた街頭演説で「県と協力して静岡市を前に進めていく」と県と連携する重要性を強調し、川勝平太知事との良好な関係をアピールした。

 象徴的だったのが6日の選挙戦最終日。マイク納めの演説で初めて川勝知事が隣に立ち「天野さんが市長になれば、県と市は一体になってうまくやっていける」と絶叫した。準備不足と高齢というハンディを抱えながら天野氏が善戦した背景には川勝知事の有形無形の後押しがあった。

 一方の田辺氏は、県との連携不足をあげつらう天野陣営を意に介さず、一途に2期8年の実績と公約を訴える戦術を取った。フルカラー20ページに及ぶマニフェスト冊子を街頭や集会で配布し「ぜひ読んでください」と呼びかけた。中でも、地盤沈下が目立つため現市政への不満が強い清水区を主戦場とみて、かなりの時間を同区内の遊説に費やし「清水港に水族館を建設して世界から人を呼び込み、にぎわいをつくる」と訴えた。

 ただ、結果を見れば、葵区と駿河区の得票率はともに50%を超えたものの、清水区では45・4%にとどまり、同区では天野氏に3・2ポイント差まで迫られた。肝心の同区民からは「清水の市街地はバスの本数が少ないし、港町なのに津波対策が十分でない。インフラ整備の面で旧静岡市と差がありすぎる。世界に輝く前に足元を輝かせてほしい」と厳しい注文が出されていた。

 川勝知事との関係を修復して県との連携を強化した上で、清水区をはじめとする地域の活性化を図るにはこれまで以上に市民、とりわけ清水区民の声に耳を傾けて不満をすくい上げ、決断力と強いリーダーシップで政策を実現することが必要だ。

 「自民党に推薦団体、JAなどがフル稼働して、これだけ差を詰められたのは本人に問題があったのではないか。この1、2年で結果を出さなければ、その先はない」。陣営関係者は苦り切った表情で田辺氏に苦言を呈した。

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