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【ハイ檀です!】新タマネギ

すばらしくうまい早取りのタマネギ
すばらしくうまい早取りのタマネギ

 ついに、桜が咲き始めた。いつの頃からか桜前線という言葉を耳にするようになり、日本列島を北上して行く桜の開花時期を天気予報と共に詳しく報せてくれる。沖縄は番外として、九州は3月の20日辺りから花が綻(ほころ)び始め、津軽海峡を渡り北海道に到達するのはゴールデンウイークの頃。この桜前線と言うのは、あくまでも染井吉野を基準の桜としており、日本にある様々な桜の開花は対象外。

 世の中桜が咲くと、春を体感しようと花見が始まる。この花見、各市町村は火器の使用を、今後は厳しく制限するようだ。また、花見の陣取り合戦にも、ルールを適用するらしい。こうした試みは、当然だと思う。海外から桜を見に来られる方々の数は、年々増加傾向にあるようだ。ただ、桜の名所での花見の狂乱には、多くの人達が眉をひそめているとも聞いている。

 問題は、宴の後始末である。ブルーシートやプラスチックの器と紙コップ等々。中にはバーベキューのフルセットや、未だ火の残っている練炭七輪の放棄をも目撃したことがある。昨今は、安価な卓上ガスコンロが普及して、手軽に調理道具が手に入る。今の世の中、多くのものを使い捨てる時代。道具を修理して使うなんてことは、もはや遠い過去のお話。昔の大工さんというと、肩に担いだ道具箱の中に、ノミ、カンナ、ノコギリ、といった基本的な道具の他に、砥石(といし)やノコの目立て用のヤスリを入れ、道具は自分で手入れをし大事に使っていた。ところが、今はホームセンターに行くと、大半のものが替え刃を交換するだけでほぼ新品に。

 しかし、今でも神社仏閣を扱う宮大工や、土をこねて壁を塗る左官屋さんのような職人は、多くはないものの活躍されている。が、こうした名人クラスの職人さんに1軒の家を建てて頂くと、途方も無い金額と信じられぬほどの時間を覚悟せねばならない。もはや、夢のマイホームも、使い捨ての時代に変貌してしまったのであろうか。

 だが、世の中を憂いてばかりいたら、明日はない。そこで、花を愛でながらパーっと感情解放することが、花見の本質であるのかも…。昨今は、部長課長の陣取り命令も、パワハラ扱いされることから、上司が自ら場所取りに奔走するようだ。幸い、我が家の周辺にはかなりの桜の花が咲いているし、携わる謂わゆる仕事というのもなくなったので、今は妻と愛犬と共に家の周辺を散策するだけで十分に花見が楽しめる。後は、畑仕事の折に、茶を啜(すす)りながら隣の畑の桜を愛でる程度。

 毎年のことだが、桜の花が咲く頃になると、早生(わせ)のタマネギが膨らみ始める。菜園を始めたばかりの頃は、未だ収穫には早いと指をくわえて眺めていた。が、ある日思い切って1本抜いてスライスしてサラダに加えて食べたところ、メチャメチャおいしいではないか。爽やかな香りと、仄(ほの)かな甘み。タマネギ独特の辛味やエグ味は少ないが、優しいおいしさには驚愕(きょうがく)した。また、葉の部分も牛肉等と合わせて炒めると、これまた柔らかくて旨い。こんなことなら、完全に育つまで待つ必要はサラサラない。これはこれで、立派なタマネギであることを認識したので、今は早生のタマネギの数を増やし、晩生(おくて)の種類と赤タマネギと3種類を植えている。

 ここ数年、この早取り用の早生の苗を植えてから分かったことだが、植える1カ月ほど前に、畑に完熟堆肥をたっぷりと入れ土をフカフカにしておく。後は木の灰や天然の有機肥料を軽めに入れて置くだけ。よく、冬の間の寒さから守る為にマルチをした方がよいと聞くが、我が家の周りは暖かいのでワラなどを根元に敷くだけでよいのかも。とまれ、準備が整った畑に畝(うね)を立て、タマネギの苗を植えているが、僕は市販の苗を買っている。50本単位で、300円程度なので手間を考えると、かなり安い。先ずは太い苗を選び、15センチ間隔に植え、ひたすら成長を待つ。

 この早取りのタマネギ、丸のまま料理に使えるのが利点。酢豚のような料理に大胆に用いても、花冷えの夜にシチューに仕立てても素晴らしい。嬉しいことに、早生のタマネギを食べ尽くす頃になると、晩生のタマネギが見事に成長する。てなことで、これからの檀家の食卓は毎日何かしらタマネギ料理。自分で作っているからなのか、それとも旨いからなのだろうか、飽きが来ないのが愉快である。

                   ◇

 だん・たろう 1943年、作家・檀一雄氏の長男として東京に生まれる。CFプロデューサー、エッセイストとして活躍し、「新・檀流クッキング」などの著書多数。妹は女優の檀ふみさん。

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