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通勤路線で地域味わう 西鉄「ザ レールキッチン チクゴ」沿線活性化ヘ運行開始 福岡

走り始めた西鉄のキッチン列車。乗客も車内から手を振った
走り始めた西鉄のキッチン列車。乗客も車内から手を振った

 西日本鉄道初の本格観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(ザ レールキッチン チクゴ」が23日、天神大牟田線で運行を開始した。都心を走る通勤路線に観光列車を導入する取り組みは、全国的にも珍しい。地域の食材を使った料理と伝統工芸を再発見し、沿線を活性化させる列車をつくろうと、担当社員は奔走(ほんそう)してきた。(九州総局 高瀬真由子)

 午前11時半、福岡(天神)駅のホームで式典が始まった。その直後、3両編成の列車が姿を見せた。

 倉富純男社長は「乗車の日を迎えたことに、胸が熱くなっている。列車には、筑後をまるごと楽しんでいただける工夫を、たっぷりと詰め込んだ」と語った。その頬は紅潮していた。

 予約客45人が乗り、すべてのテーブルが埋まった。11時50分、キッチン列車が走り出した。

 沿線自治体の市長らも、小旗を振って列車を見送った。福岡県の江口勝副知事は「地域の知られない魅力を開拓し、レールに乗せて運ぶ、すばらしい列車だ」と期待した。6月末まで、ほぼ満席という。

 ■2人が道筋

 「観光列車をつくろう」

 倉富氏が社員に呼びかけたのは、平成25年の社長就任から間もない頃だった。

 同じ年、JR九州が「ななつ星in九州」の運行を始め、観光列車ブームが起きようとしていた。景色の良いローカル線を活用し、全国の鉄道会社が動いた。

 ただ、西鉄の路線は、福岡市など都市部と近郊を結び、通勤通学客を運ぶ。朝・夕を中心にダイヤは過密で、観光列車の運行には向かない。

 「本当にやるのか」という空気が漂う社内で、たった2人のプロジェクトチームが発足した。

 吉中美保子氏(47)と、栗原伸行氏(35)だった。2人は土日を中心に、3カ月ほどかけ、全国35カ所の観光列車に乗った。それぞれの特徴を分析し、「西鉄でやるなら、どのタイプが良いか」と検討した。

 考え抜いたコンセプトが「地域を味わう旅列車」だった。

 吉中氏は「都市部の列車で景色を楽しむことは難しい。だけど、同じ景色でも気分によって見方が変わる。地域の資源をふんだんに取り込むことが、他で味わえない魅力になると思った」と話した。

 沿線の食材を使った「レストラン」のような列車を目指した。

 3両編成のうち1両を、窯を中心としたキッチンにした。座席数を減らせば収益も減るが、温かい料理を提供することにこだわった。

 内装には大川の家具や、八女の竹編みなど、地域の伝統技術を取り込んだ。

 「特別な日にちょっと良いレストランに行くイメージ」を掲げ、価格は料理代込みで8千円(税別)と設定した。

 キッチン列車は時速50~60キロと、ゆっくり走る。金、土、日曜と祝日運行だが、ダイヤ編成は、鉄道担当の社員が知恵を絞ったという。

 ■挑戦の象徴

 天神大牟田線の沿線は、人口減少と産業の衰退が続く。それは鉄道維持の危機に直結する。

 西鉄はこの列車を、沿線活性化の起爆剤だけでなく、課題に挑戦する象徴にしたいと考えている。

 倉富氏は式典終了後、「固定観念を取っ払い、取り組んでいく姿勢が社内に生まれた。乗客や沿線住民に喜んでもらうことの楽しさを、鉄道部隊が改めて感じたことは大きい」と語った。

 長く愛される列車にしたいと、今後、自治体や地域の観光事業者との連携に力を入れる。

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