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【駅メロものがたり】JR福島駅 「栄冠は君に輝く」

 夏の全国高校野球選手権大会で流れる「栄冠は君に輝く」は平成21年4月、JR福島駅の新幹線ホームの発車メロディーに採用された。作曲した古関裕而(こせき・ゆうじ)は福島市出身で妻、金子との愛情物語が来年度前半のNHKの朝の連続テレビ小説で描かれる。再評価が進む背景には、東日本大震災の復興にかける地域の人々の願いがある。 (藤沢志穂子)

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 JR福島駅には「甲子園の歌がなぜここで?」との問い合わせが少なくない。「そのたびにお客さまに説明しています」と堀江千恵副駅長は苦笑いする。

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 古関の名前を知らなくても、生涯に5千曲を作ったというメロディーは聞き覚えのあるものが多いはず。昭和の人気テレビ番組「オールスター家族対抗歌合戦」の審査員といえば、その笑顔を思い出す人もいるだろう。「歌は親しまれていても、作った人は知られていない。(平成21年の)古関の生誕100周年を機に駅メロ化を考えた」と福島青年会議所(JC)の元理事長、作田謙太郎さん(48)=同右下=は話す。

 その2年前の平成19年、福島市制100周年を記念し、福島JCは古関メロディーのCDを制作。収録曲を決める市民アンケートの1位が「栄冠は-」で駅メロの候補となる。当時のJR福島駅長、三浦丈志さん(63)=同左下=は「駅は街とつながる盛り上がりの拠点。列車が出ていくイメージをお願いした」と快諾。ミュージシャンの、はんだすなおさん(48)がシンセサイザーで「2曲とも跳ねるようなメロディー。シンプルで、かつ派手さが残るように作った」という。

 「栄冠は-」は昭和23年、新制高等学校による高校野球選手権大会が始まり、古関が大会歌の作曲を担当した。実際に甲子園球場に行ってマウンドに立ち「脳裏にメロディーがわき自然に形づくられた」と自伝に記している。出身の福島商は甲子園の常連校。長男の正裕さん(72)は「父はスポーツを全くしない『運動音痴』。母校が出場するとテレビで試合を見ていた」と懐かしむ。

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 古関にはスポーツや行進にちなんだ作品が多い。昭和6年には早稲田大学の応援歌「紺碧(こんぺき)の空」がヒット。11年には現在の阪神タイガースの依頼で「六甲おろし」を作曲した。

 戦時中は飛行下士官である予科練生の心を描く「若鷲の歌」などを作曲。「軍部の指示で作った曲ではない『戦時歌謡』で若者への応援歌。だから親しまれた」と正裕さん。その作風は「栄冠は-」や、昭和39年の東京五輪の選手入場行進曲「オリンピック・マーチ」に受け継がれていく。

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 福島市の呉服業の家に生まれた古関は実家の商売が傾き、苦学して山田耕筰に師事した後、クラシックからポピュラーに転じた。作曲は楽器を使わず、全て頭の中で行ったという。福島市内の古関裕而記念館では、愛用のオルガンや8ミリ撮影機、直筆の楽譜などが展示されている。JR福島駅のロータリーには、古関の音楽が1時間ごとに流れるモニュメントがある。

 今年は古関の生誕110年、没後30年。東京五輪が開催される2020年の4月に始まるNHKの朝の連続テレビ小説「エール」では古関夫妻を取り上げる。東京五輪では福島市で開催される野球とソフトボールで、再び「オリンピック・マーチ」を使ってもらおうとの運動も進む。

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 【産経ニュース動画】地元アーティストが彩る駅のメロディー JR福島駅「栄冠は君に輝く」https://www.youtube.com/watch?v=I‐YsB_hE0bI

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