PR

地方 地方

出所者雇用はオープンな環境大切 積極採用する上尾の建設業「村岡」の江原社長に聞く

 再犯を防止するため、刑務所の出所者の就職をサポートする動きが活発だが、「元服役囚」という過去がつきまとい、雇用に二の足を踏む企業も少なくない。そこで出所者を積極的に雇用する総合建設業「村岡」(上尾市)の江原一美社長に受け入れ側のポイントなどについて聞いた。(黄金崎元)

                   ◇

 --出所者雇用はいつから

 「私の叔父でもある常務の友人が『全国就労支援事業者機構』の役員だった縁で、6年前から積極的に採用している。これまで20~25人の出所者を採用してきた。現在50人の社員がいるが、うち6人が出所者だ」

 --出所者と一般社員が一緒に働く上で、会社として配慮している点は

 「社員は私も含めて基本的に寮で共同生活をしている。出所者はどこかで負い目を感じており、過去を隠したくなる。だが、過去を隠すと、いずれにせよ陰でいわれるので、すべてオープンにしている。その方が出所者の気持ちが楽になるから。共同生活の部屋は4人、6人、7人で寝泊まりする形にしている。個室にすると、隠し事ができるから」

 --随分、オープンですね

 「家族と同じように接している。過去を隠さず普通に接しないと、出所者の雇用は長続きしない。だから、みんな平等。普通の会社がこのような接し方をするのは難しいと思うが、出所者の雇用は受け入れ側の接し方が大事だ。裏切られることも多いが、そういうことを受け入れて採用する必要がある」

 --実際に苦労されたことも多いとか

 「罪を犯しているので駄目な人が多いのは事実。すぐ嘘をついたり、ひと晩寝たら、いなかったりということもあった。逃げ出してお金がなくなり、名古屋や熱海(静岡県)に迎えに行ったこともある。まじめに働いていたのに同僚の金を盗み、それからタクシー強盗をしてしまった人もいた。そんなリスクを背負えるか、経営者の覚悟も必要だ」

 --なぜリスク覚悟で雇用するのですか

 「私も若い頃は高校を中退し、暴走族に入り、ヤンチャだった。実家が左官業で全国の現場を回り、自由気ままに生きてきた。出所者が負い目を感じる気持ちは理解できる。これまで出所者と仕事をすることもあり、そうした人たちを怖いと思ったり、嫌がったりすることなく、自然に受け入れてきた」

 --出所者の雇用が広がるには何が必要か

 「経営者が自分の名誉のために出所者を雇うという動機では長続きしない。経営者が出所者と仕事や遊びも一緒になって楽しみ、気軽に話しかけるような会社でなければ、出所者は心を開かない。受け入れる側がオープンな環境をつくってあげる必要がある。会社がそういう形に変わらないと、なかなか雇用は広がらない」

                   ◇

 ■内定数は年々増加傾向 就労支援コレワーク設立

 平成28年に再犯防止推進法の成立を受け、刑務所や少年院の入所者の職歴・資格情報を集約し、雇用を希望する企業に紹介する「コレワーク(矯正就労支援情報センター)」が設立され、出所者の採用実績が着実に増えている。企業からの問い合わせも増加し、着実に成果を上げている。

 東日本エリアを管轄するコレワーク東日本(さいたま市)の28年11月から今年2月末までの企業からの問い合わせは累計1021件で内定は242件に上る。年別でみると、企業の問い合わせは28年40件、29年346件、30年549件。内定は28年が0件、29年が65件、30年が142件。問い合わせや内定数は年々増加傾向にある。

 西日本エリアを管轄するコレワーク西日本と合わせたコレワーク全体の企業からの問い合わせも累計2137件で、内定実績も503件と年々上昇している。

 出所者の雇用が増えている要因について、コレワーク東日本で矯正専門職を務める鈴木貴之さんは「28年に新法が成立し、法務省だけでなく、他の省庁、自治体が出所者の雇用に協力してくれるようになった。協力雇用主への奨励金の効果も大きい」と分析する。深刻な人手不足の中、出所者の雇用への、企業の関心は高まっていることも大きい。

 ただ、他の社員への影響や自社のイメージの低下に加え、就労後にすぐ退職するケースなども少なくなく、雇用にはハードルが高い。このため、「新年度から自治体と連携し、企業向け就職セミナーの回数をさらに増やしたい」(鈴木さん)としている。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ