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【大震災から8年】笑顔と活気取り戻す担い手 岩手県大槌町へ派遣の静岡県職員・高木良さん(28)

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 未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発生から11日で8年を迎えた。南海トラフ巨大地震による被害が想定される本県では、震災の教訓を自らの防災対策に生かすべく、毎年、岩手県や宮城県の自治体に職員を派遣して復興支援に協力してきた。津波被害が大きかった岩手県に派遣され、現地で奮闘する県の若手職員が見た「震災から8年」を経た被災地の現状と課題を探った。

 平成29年4月から岩手県大槌町に派遣され、災害公営住宅の入退居手続きや維持管理を担当している。仮設住宅に居住するなど自力での生活再建が困難な被災者に低家賃で貸し出す災害公営住宅は、国の補助で各自治体が整備する。大槌町では878戸の整備が計画され、今月までに9割以上が完成した。

 それだけに仕事量は膨大で、「毎日のように入居や家賃について相談を受けます」と高木さん。住宅の鍵を手渡した際に感極まって涙ぐんだり、何かと頼りにしてくれるお年寄りと接するたびに、責任の重さとやりがいを感じている。

 島田市出身。仙台市内の大学に進学し、在学中に東日本大震災に見舞われた。しばらくの間、沿岸部の市町で物資の仕分けや交通整理のボランティアに携わった。卒業後の進路として「復興の手助けができれば」と被災地自治体への就職も頭をよぎったが、結果として静岡県庁を選んだことに心のどこかでモヤモヤしたものを感じていた。だから、入庁3年目に被災地派遣の話が持ち上がった際、積極的に応じた。

 着任してみると、想像していたような津波に洗われた更地ばかりという光景ではなかった。町の中心部は土地の造成工事がほぼ完了し、整然と区画整理されていた。赴任して2年がたとうとする間に、さらに住宅や商店の建設が進み、町は以前の活気を取り戻しつつある。

 町の大部分が津波被害に遭い、町役場が全壊して行政機能がまひしたあの日から8年。がれきが積み上がっていた場所に、スーパーや住宅街が完成し、人々のざわめきや子供の笑い声が響くようになった。「震災当初は想像もできなかったことで感慨深いです」。あの頃の東北の惨状を知る高木さんは感動で声を震わせる。

 ただ、何もかもが以前の姿を取り戻しているわけではない。被災を憂慮して内陸部に転居したり、町を出て遠くに住むことを選んだりする町民は少なくない。さらに高木さんはこう指摘する。「町の規模に比して建築工事が多すぎて、工事現場も諸手続きを行う役場も人手が足りていない。今後さまざまな分野で必要になる専門知識を持つ人材も少なすぎる」。人手不足によって復興が減速することが気がかりだ。「まだまだ私たちのような自治体職員の派遣も、そのほかのさまざまな分野での支援も必要です」とも話す。

 あと数週間で派遣期間が満了する。

 「災害復興住宅の家賃に関わることなど、ミスが許されない仕事がまだ残っているので最後まで全うしたい」。数十年後に、見違えるように発展した大槌町を訪れることを楽しみにして気合を入れ直していた。(田中万紀)

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