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新たな場で次世代に伝える 福島・浪江に建立された慰霊碑

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 津波で13人が犠牲になった福島県浪江町南棚塩地区にある霊園に昨年11月、地元有志が慰霊碑と地元の歴史を記した石碑「棚塩史碑」を建立した。

 11日午前、降りしきる雨のなか、鈴木竹子さん(91)が慰霊碑を訪れた。鈴木さんは長男の謙太郎さん=当時(64)=を津波で亡くした。消防団員だった謙太郎さんは「水門を閉めに行く」と家を出たまま行方不明となり、約1カ月後に遺体で発見された。慰霊碑の裏面には「水門」という文字と謙太郎さんの名が刻まれている。自宅も流されて「土台しか残らなかった」。避難生活では猪苗代町や福島市などを転々とし、現在暮らしている南相馬市の復興公営住宅で7カ所目だ。災害危険区域に指定された南棚塩に帰ることはかなわない。

 「前に住んでいた仮設住宅は知っている人がたくさんいて家族のようだった。今はわからない人ばかり」。住み慣れた場所を離れる悲しみは忘れられない。

 午後2時46分、鈴木さんの姿は町の追悼式会場にあった。式で遺族代表として体験を語ったのは孫の祥高さん(36)だった。

 「震災を風化させないよう、次の世代に伝えることが私たちの責任だ」

 鈴木さんは毎年、この日になると町に戻って、追悼式に参加する。「南棚塩は今でも大切な場所です」と話す。

 震災から8年、鈴木さんにとってもう一つの鎮魂の場が生まれた。(内田優作)

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