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東京大空襲74年 平和を願い惨禍語り継ぐ 体験集発行

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 約10万人が亡くなったとされる東京大空襲から10日で74年。空襲体験者が年々減少し、高齢化も進む中、惨禍の体験を次世代に語り継ごうと、当時子供だった21人が体験集を1冊の本にまとめて発行した。編集委員の一人、西尾静子さん(80)は「社会に対する遺言書」と話す。大空襲下での自らの思いを書いた本を手に、これからも平和の尊さを訴え続ける。

 ◆21人が寄せた文章

 体験集「あのとき子どもだった-東京大空襲21人の記録」は、東京大空襲・戦災資料センター(江東区)で当時の体験を語っている人たちを中心に、「戦争がどういうものかを考えるきっかけにしてもらいたい」との思いで21人から寄せられた文章をまとめた。

 同センターによると、東京大空襲の記録は、都が昭和28年に発行した「東京都戦災誌」があったが、戦時中の市民生活や被害状況をまとめたもので、「体験」は載っていなかった。同50年ごろには都民の体験を集めた「東京大空襲・戦災誌」が刊行。継承を考える中で、「体験者が戦後どのような人生を歩んだのかも書けるのではないか」(同センター)と、事実上の第2弾となる今回の体験集が出来上がったという。

 西尾さんは以前も体験談を寄せたが、再び執筆。6歳の誕生日当日に、死と隣り合わせで過ごした3月10日の夜。翌朝、避難していた高校の地下室から出て見た黒い死体の山-。「惨事の爪痕は、決して私の記憶から消えることはありません」と記した。

 戦後は国立感染症研究所の研究者として定年まで働いたことなども書いた。「戦後のライフワークを書かない限り、戦争の体験は完成しないとの思いだった」と振り返る。長年、感染症から命を守る仕事に携わってきた立場から、体験談は「ウイルスや細菌では無く、人為的な戦争によって尊い命を失うことほど、切なく腹立たしいことはありません」と結んでいる。

 ◆用語解説や地図も

 発行にあたっては、空襲を体験していない世代にも協力してもらい、用語解説などの注釈を付けた上、21人が当時どのような避難経路をたどったのかも1枚の地図にまとめた。

 同センターの比江島大和学芸員は「体験者本人が記録を残すことは、月日の経過とともに難しくなる」と発行の意義を強調。「この本をきっかけに、継承の輪が広がれば」と話している。

 体験集はA5判276ページ。同センターや、同センターホームページで購入できる(税別1500円)。問い合わせは同センター(03・5857・5631)。(久保まりな)

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