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【学芸員ミュージアム談義】県天心記念五浦美術館「不二霊峰」初公開 横山大観の愛した五浦

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 水戸出身の日本画家、横山大観。明治から昭和を駆け抜け、「流燈(りゅうとう)」(県近代美術館蔵で開催中の企画展「ザ・ベスト」で展示中。24日まで)や「瀟湘(しょうしょう)八景」「生々流転」といった名作を残しました。また、生涯1500点以上描いたとされる富士の絵は大観の代名詞でもあり、今でも多くの人に愛されています。

 大観は40代の頃、岡倉天心の招きで北茨城の五浦(いづら)に移住し、朋友の菱田春草(ひしだ・しゅんそう)らとともに制作に励みます。五浦を訪れた後輩画家は、絵筆をとる大観らの姿を見て「まるで座禅僧のようであった」との言葉を残しています。事実、ここで近代日本画史に残る多くの名作が生まれたのです。邸宅が大火に見舞われ、翌年には五浦を離れることになった大観ですが、その後も五浦に別荘を構えるなどして足しげく通っています。

 五浦での大観の生活を支えたのは、同地の有力者であった小野金次でした。五浦を来訪する大観を歓待したほか、物資の不足する戦時中には東京の大観に石炭を送り届けました。大観から小野に送られた書簡も伝わっており、2人の交流がうかがえます。大観の愛した五浦には、美しい自然だけでなく、こうした親交があったのです。

 現在、当館の岡倉天心記念室では、大観から小野に贈られた「不二霊峰」を初公開しています。大観直筆の貴重な書簡もあわせて展示中です。(県天心記念五浦美術館学芸員 塩田釈雄)

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 ■メモ 北茨城市大津町椿の同館で6月23日まで展示中。

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