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旧中野刑務所正門 現地保存方針決まる

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 大正初期の先駆的モダン建築で、小説「蟹工船」の小林多喜二ら“思想犯”が収容されていたことでも知られる旧中野刑務所(中野区新井)の正門が、区によって現地で保存された上で公開されることになった。所在地に公立小学校の移設が決まり、保護者から取り壊しを希望する声が上がる一方、地元などで保存運動が起こり、存続か解体かが注目されていた。

 ◆老朽化に不安の声

 旧中野刑務所は大正4年に完成し、正門以外は昭和58年の刑務所廃止時に取り壊された。正門は高さ約9メートル、東西約13メートル、南北約8メートルのレンガ造りで、大正期の建築家、後藤慶二(1883~1919年)の唯一現存する作品。

 学識者から「都指定文化財になりえる」などの声が上がり、日本建築学会や地元の「平和の門を考える会」などから、保存を求める要望書や意見書が出されていた。

 敷地は児童数が増えた区立小学校を移転させるため、中野区が財務省から買い取る予定。区が同校の保護者らへ行った正門の保存方法に関するアンケートでは、「保存の必要なし」が約3分の1を占め、「十分な広さの校庭を確保してほしい」「老朽化したものを残すのは不安」といった声が上がった。

 このため区は、(1)現地保存(内部見学可)(2)現地保存(外部見学のみ)(3)移築(4)一部保存(5)模型などで記録保存-の5案を基に意見交換会などを実施。最終的に(2)の現地保存(外部見学のみ)に決まった。区は「都の文化財指定を目指すには現地性が重要だった」と説明。小学校の敷地は新たな拡張用地を使って広さを確保する予定だ。

 ◆設計見直し要望も

 ただ、「平和の門を考える会」の十川(そがわ)百合子さんは「残し方に問題がある」と指摘し、現在の設計案では正門が校舎に囲い込まれる形になるため「門をもっとみせてほしい」と設計の見直しを要望。区は「法律的な制約上、この形にせざるをえない」としている。

 また、同会は思想犯収容の経緯などから「学校の教材として共存を訴え続けていく」としており、「貴重な建物として残す」とする区とは温度差がある。

 区は来年度に正門の内部調査を開始。4年後の開校に合わせ、学校の休業時を利用して正門の公開を始める予定だが、「具体的な見学の仕方は検討中」としている。(吉沢智美)

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