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社会運動支えた木版画紹介 SNSの「ルーツ」…アーツ前橋で企画展

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 社会運動を支えたアジア10カ国の木版画を紹介する企画展「闇に刻む光 アジアの木版画運動 1930s-2010s」がアーツ前橋(前橋市千代田町)で開催されている。日本の公害の原点とされる足尾鉱毒事件を追った栃木県小山市出身の版画家、小口一郎の「野に叫ぶ人々」をはじめ、アジア各国の作品約400点を展示。現代のネット社会で広まる会員制交流サイト(SNS)の「ルーツ」ともいえる木版画の力を感じさせる内容だ。(糸魚川千尋)

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 中国近代文学の巨匠・魯迅が1930年代に推進し、アジア各国に広まった木版画。安価に制作・複製できるため、大衆の「メディア」として社会運動で多用されてきた。

 展覧会では、プロ、アマを問わず、社会問題をえぐり出すメッセージ性の強い作品にスポットを当てている。

 終戦により民主化運動が高揚した日本では、北関東を中心に、職場や地域サークルでも木版画が普及した。

 「北関東は木版画運動が盛んだった土地。群馬・栃木県境を流れる渡良瀬川で起きた足尾鉱毒事件の木版画にも注目してほしい」

 住友文彦館長は力を込める。会場では、反戦を訴える作品のほか、足尾鉱毒事件を追った小口一郎の連作「野に叫ぶ人々」を紹介。帝国議会で被害を訴える田中正造を描いた作品など、全40作品のうち19点が並べられている。

 「展覧会で多くの人に伝えられていった、まさに『メディア』として社会に影響を与えた作品」(五十嵐純学芸員)といい、荒々しいタッチの木版画と手書きで添えられた解説からは、当時の様子が生々しく伝わってくる。

 80~2000年代のブースでは、民主化運動が広まった韓国の作品を紹介。同国南西部の光州で市民160人超が犠牲となった80年5月の光州事件を題材とした洪成潭(ホンソンダム)の「五月版画連作〈夜明け〉」の全50作品を展示している。

 凄惨(せいさん)な事件を長年かけて記録、広く伝えており、所蔵する福岡アジア美術館の趙純恵(チョウスネ)学芸員は「告発するためのジャーナリズムの側面が非常に強い作品」と解説。中でも代表作「五月-25 大同世-1」は、銃を持つ学生を応援する様子が描かれ、民衆運動への市民の期待が表現されている。

 住友館長は、木版画運動が形を変えて現代にも息づいていると強調。「マスメディアが取り上げない問題を発信することは、今はSNSを使って行われている」と語る。24日まで。

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