PR

地方 地方

フリーペーパー「うたらば」創刊9周年 31文字の世界分かりやすく 大阪

Messenger

 ■歌人・田中ましろさん「短歌知らない人に魅力を」

 31文字から広がる短歌が描く世界を、分かりやすく伝えてくれる大阪発のフリーペーパーがある。今年で創刊9周年となる「うたらば」。インターネットで短歌を募集し、読む人のイメージが広がる写真を添えた冊子で、全国のカフェや雑貨店などで無料配布されている。会社員をしながら、一人で製作を続ける歌人の田中ましろさん(39)=豊中市=は「短歌を知らない人に魅力を届けたい」と話す。

 最新号のテーマは「音色」。目に見えない音を、それぞれの感性で歌にした30首が掲載されている。

 「何かしら夢中になっているときの無音はこの世の無上の音楽」(永峰半奈)

 「唐揚げが揚がる音色が美しくこれで世界を平和にしたい」(幸香)

 「何かしら~」の歌は、ソファに身を沈め読書に夢中になっている女性の写真が添えられ、読み手のイメージが膨らむようにしている。

 創刊は平成22年。「うたらば」というタイトルは、「うた」「ラブ(LOVE)」「場」などの意味を込めたという。当時、インターネット上でSNSなどを使って歌を披露する人が増えていたが、「ネットで発信するだけでは、(情報が氾濫する)ネットの海の中に消えていってしまう。紙という後に残るメディアで伝えたいと思った」と振り返る。

 創刊以来、4カ月に1度のペースで発行。すべて一人で行い、短歌を募集するホームページの製作から、掲載する歌を選ぶ作業、さらに写真撮影、冊子のデザインも手がけた。本業は広告代理店に勤務するコピーライター。仕事の後に、コツコツと作業し、完成すると全国の雑貨店やカフェ、書店など配布してくれる店舗に郵送している。

 発行部数は創刊当時、150部だったが、1100部に増え、配布店舗は北海道から宮崎まで47店舗に広がった。投稿数は当初、50首ほどだったのが、600首を超えるようになった。28年には、国語の副読本で紹介された。

 田中さん自身は同人誌「かばん」に所属し、歌集も発行。「うたらば」では毎号、編集後記で自分の作品を1首発表している。

 短歌の魅力とは何か。田中さんは、31文字という限られた文字数で表現することだという。その文字数の中で何を言うのか、あるいは何を言わないのかを考えるのが面白い。

 「短歌は、例えば悲しい気持ちを表現するとき『悲しい』という言葉を使わず、曇り空に置き換える。シーン(場面)を表現するので、写真や絵が好きな人ははまると思う」

 奥の深い短歌の世界だが、「うたらば」の読者には「あまり深く考えず『なんかいいな』と感じてもらえるとうれしい」と語る。「短歌のことがよくわからなくても、雰囲気や世界観を楽しめる入り口になってもらえれば。それが役割かなと思っています」

 配布店舗で「うたらば」を手に取ったことがきっかけで、短歌を始めたという人もいる。そんな人が増えてほしいという思いが、作り続ける原動力になっている。

                   ◇

 配布店舗を募集している。詳細は「うたらば」のホームページ(http://www.utalover.com/)で。(中井美樹)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ