PR

地方 地方

「医師の唇の動きがマスクで見えず…」 大阪の出版社が聴覚障害者のがん闘病体験談

 聴覚障害者の女性2人が乳がんの闘病について語り合った書籍「ろう者のがん闘病体験談」が出版された。医師や看護師とのコミュニケーションの難しさやその解決方法など、同じ立場の人たちに役立つ情報が盛り込まれているとともに、聴覚障害のある患者と接する医療関係者にも参考になる内容となっている。

 大阪市天王寺区の出版社「星湖舎」が、情報が不足しがちな聴覚障害者向けの医療情報を充実させたいと企画。乳がんと診断され、手術や抗がん剤治療を経験した枚方市の寺嶋久枝さん(57)と兵庫県伊丹市の川淵一江さん(45)に協力を仰ぎ、寺嶋さんの夫で手話通訳士の幸司さんらも交えて体験を語り合ってもらった。

 久枝さんと川淵さんの対談では、乳がんが見つかった経緯や闘病生活についてそれぞれ説明。久枝さんは入院中に困ったこととして、医師や看護師がマスクをつけているため唇の動きが読めず、「取ってください」と毎回頼まなければならなかったことや、説明内容を「書いてほしい」と頼むと簡略化されて終わってしまったことなどをあげた。

 一方、川淵さんは、手話通訳士が常駐するなどサポートが手厚い市立伊丹病院で治療を受けたことから、コミュニケーション上のストレスは少なかったという。さらに、スムーズに意思疎通を図るために、吐き気やしびれの有無といった毎回聞かれる決まった質問は、チェック表を自作して事前に書き込んでおくなどの工夫をしていたという。

 対談に同席した同病院の元看護師、江木洋子さんによると、医療者側の「聞こえる家族に伝えればよい」「筆談すれば通じる」などといった誤解から、当事者である患者へのインフォームドコンセント(十分な説明と同意)がなされていないケースが少なくないという。

 本の巻末には、同病院に聴覚障害のある患者が来院した際の対応マニュアルや、医師らに配布している対応のポイントをまとめた文章などを参考資料として掲載している。

 星湖舎の金井一弘社長は「ろう者が感じている不便さが分かる内容で、ほかの病院でも参考になるはず」と話している。

 A5判92ページ、1200円(税別)。問い合わせは星湖舎(06・6777・3410)。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ