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【検証・小川県政】(1)産業振興 バイオ・自動車、前知事の路線は継承

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県内の首長との会合であいさつする福岡県の小川洋知事=1日、福岡市中央区
県内の首長との会合であいさつする福岡県の小川洋知事=1日、福岡市中央区

 ■「リスクや挑戦避けている」

「新しい雇用も生まれ、地方創生の観点からも感謝している」

 福岡県の小川洋知事は今月12日、満面の笑みで語った。同県久留米市に新工場建設を決めた資生堂の魚谷雅彦社長との面会だった。

 資生堂の新工場は、県が造成した久留米・うきは工業団地への立地第1号となる。投資額は400億~500億円で、平成33年度中の稼働を予定する。同社の他工場をみると数百人規模の従業員がおり、地元の期待は高まる。

 小川氏は建設が決まった際のコメントで「資生堂を訪問し、魚谷社長に立地をお願いするなど、県を挙げて誘致を進めてきた。これまでの取り組みが大きな成果として実を結んだ」と、自身の功績を強調した。

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 小川氏は平成23年4月の知事就任以来、企業誘致に力を入れてきたと主張する。県によると、29年までの7年間、誘致件数は390件で、新たに6914人分の雇用が生まれた。

 ただ、数字だけでは見えないものがある。

 福岡県の経済は、大都市である北九州、福岡両市のウェイトが大きい。両市は事業所数や従業員数で、全県の3割超を占める。

 両市は独自で企業誘致を積極的に進める。県に期待されるのは、調整役として両市の相乗効果を高めることや、置いてけぼりにされがちな中小都市や郡部の支援だろう。

 小川氏が就任間もない23年12月、県と福岡、北九州両市が、環境を軸とした産業の拠点構築を目指す「グリーンアジア国際戦略総合特区」に指定された。内閣広報官として、当時の民主党政権に仕えた小川氏ならではの仕事だった。30年10月までに同特区を活用した企業は68社と、一定の成果が出ている。

 だが、安倍晋三政権が25年9月に募集した国家戦略特区に対し、福岡市は単独で、県と北九州市が共同で提案した。

 当初、3自治体で共同提案しようという話もあったが、うまくいかなかった。結局、福岡市の「創業特区」が勝ち、県と北九州市の提案は落選した。

 その後、福岡市は特区制度をフル活用する。27年12月になってようやく、北九州市が「創業特区」に加わったが、出遅れ感は強い。

 この現状に、県議会からは「小川氏は調整役を果たせていない。将来を見据えた産業政策も弱い」と批判する声が上がる。

 23年11月に東芝が北九州工場(北九州市小倉北区)を閉鎖すると発表した際には、小川氏が北九州市の北橋健治市長と上京し、東芝社長に白紙撤回を求めたのは、発表から2週間余り後のことだった。

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 資生堂誘致について、小川氏は「福岡バイオバレープロジェクトの弾みになる」と語った。同プロジェクトは久留米地域を中心に、バイオ関連産業の集積を目指す。すでに200社以上が集まる。

 だが、構想をぶち上げたのは、前知事の麻生渡氏だった。麻生氏のリーダーシップにより平成13年9月、将来のプロジェクトを見据えた産学官による推進会議が発足した。

 麻生氏が旗を振った産業振興に、自動車もある。

 7~23年の4期16年にわたる麻生知事時代、県は北部九州での自動車生産「100万台構想」を掲げた。麻生氏のトップダウンと、他県も巻き込む調整力で、数々の施策が進んだ。

 17年9月にはトヨタ自動車九州宮田工場(同県宮若市)で生産能力が強化され、21年12月には日産車体九州(同県苅田町)の新工場が稼働した。

 29年度の北部九州の自動車生産台数は140万台を超える。製造品出荷額の3割を担う県の基幹産業に育った。

 小川県政ではどうか-。「ダイハツグループ九州開発センター」(27年8月)、「トヨタ自動車九州テクニカルセンター」(28年3月)など、開発・設計の拠点が福岡に進出した。

 小川氏は「加工・組立だけでなく、開発・設計も始まった」と成果を誇る。

 ただ、このレールを敷いたのも、麻生氏だった。

 どの首長も、前任者の路線を引き継ぎ、発展させて、自身の功績とアピールする。同時に、将来を見据えて種をまき、畑を耕すのが優れた政治家といえる。

 小川氏の2期8年、将来の基幹となる産業育成の芽は、見えてこない。麻生氏は今回、対立候補予定者の後援会長に就任した。

 一般財団法人日本立地センター(東京)の藤田成裕産業立地部長は、小川氏の産業政策について「企業進出用の立地整備が遅れている。検討企業が、用地がなく他県を選んだケースもあると聞く」と指摘した。

 用地整備には時間と費用がかかり、売れ残るリスクもある。藤田氏は「よく言えば、失敗によるツケを次世代に残さなかった。悪く言えば、リスクを負うことを嫌い、チャレンジしなかった」と話した。

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 任期満了に伴う福岡県知事選(4月7日投開票)で、小川氏は3選を目指す。2期8年の小川県政を検証する。

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