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【埼玉経済ウオッチ】高齢化時代の事業承継 課題山積、県支援の重要性拡大

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 県内でも経営者の高齢化が進み、事業承継が大きな課題となっている。県内の事業承継では、専門家が株式や事業、従業員の譲渡などの相談に応じる「埼玉県事業引継ぎ支援センター」や事業承継に関する情報を提供する「埼玉県事業承継ネットワーク」が橋渡し役として、重要な役割を担っている。今後も事業承継の相談が増えるとみられ、両者の活躍の場がさらに広がりそうだ。

 「企業間のM&A(合併・買収)に加え、役員・従業員承継のほか、個人からの買いの相談が増えてきている。今後も多様化が予想される事業承継の相談に柔軟に対応したい」

 こう語るのは県事業引継ぎ支援センターで統括責任者を務める石川峰生氏。同センターは平成28年1月に産業競争力強化法に基づく公的相談窓口として開設され、相談件数や成約実績が年々増加している。

 政府は事業承継税制を拡充し、30年度から法人資産の承継で贈与税・相続税の猶予割合を80%から100%へ引き上げた。31年度に個人企業にも拡充される見込みだ。同センターは18日にさいたま商工会議所会館(さいたま市浦和区)で、納税猶予制度とM&Aの有効活用をテーマとするセミナーも開催するなどサポート体制を強化している。

 一方、県事業承継ネットワークは30年7月にさいたま商工会議所内に事務局が設置された。中小企業庁は29年度を初年度とする「事業承継5カ年計画」を策定し、各都道府県に事業承継ネットワークを展開し、事業承継診断を含むプッシュ型の支援などに取り組んでおり、同ネットワークはその役割を担う。

 事業承継のポータルサイトを構築して普及・広報活動を行うとともに、商工会議所や商工会の経営指導員をはじめとする事業承継担当者を育成。このほか、弁護士や会計士などの士業や業界団体と連携し、対応可能な専門家リストを作成するなど環境整備にも取り組んでいる。同ネットワークの事業承継コーディネーターの富澤紳氏は「事業承継の形は時代の推移とともに変化している。親子間の承継や第三者への承継の重要性に早く気付いてもらい、方向性を決めるお手伝いをしたい」と意気込む。

 東京商工リサーチのデータベースによると、30年に全国で休廃業・解散した企業(倒産以外で事業活動を停止した企業)は前年比14・2%増の4万6724件。件数が増加したのは28年以来、2年ぶりとなる。30年の企業倒産は同2・0%減の8235件と10年連続で前年を下回ったが、休廃業・解散は大幅に増加した。

 休廃業・解散と倒産した企業数の合計は判明分で年間約5万5千件に達し、全企業358万9千社の1・5%を占めた。休廃業・解散した企業の代表者の年齢は60代以上が8割(構成比83・7%)を超え、高齢化による事業承継の課題がより鮮明となってきた。

 一方、30年の県内の休廃業・解散企業数は同1・08%減の1925件と6年ぶりに前年を下回ったものの、事業承継に対する課題は山積しており、今後も県事業引継ぎセンターと県事業承継ネットワークの役割がますます重要性を増しそうだ。(土持功・東京商工リサーチ埼玉支店長)

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