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桐蔭学園高・岡田直哉校長に聞く 「新しい進学校を目指す」

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 少子化の進行に伴い県内の各高校も生徒数の確保が課題となる中、順調に入学者数を伸ばしている学校がある。横浜市青葉区にある桐蔭学園高校だ。創立55年を迎える進学校で学業・スポーツともに名門校として知られる一方、有名大学合格率の低迷など過渡期を経て、「新しい進学校」として生まれ変わりつつある。これからの道筋を岡田直哉校長に聞いた。(聞き手 河野光汰)

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 「真のエリートの育成」などを掲げて、昭和39年に開校した同校。文武両道の進学校として進学実績を積み重ね、平成初期には年に約100人が東大に合格。早大や慶大にも毎年それぞれ400人余りが合格するなど、県内屈指の進学校の地位を確立していた。

 ◆低迷期を経て

 だが、その後、進学実績が落ち込み始めるなど低迷期に入る。自らも卒業生の岡田校長は低迷を招いた原因について「学業が『習得』で終わってしまい『活用』につなぐことができず、次の時代を見据えられていなかった」と唇をかむ。

 そこで学園が新たに掲げたのは「新しい進学校を目指す」との理念。従来の偏差値絶対主義を排し、「自ら考え、判断し、行動できる人間」の育成を目指す「教育改革」にかじを切った。

 着手したのは、それまで「大学合格」に絶対的な重きを置いていた授業の改革。特筆すべきなのが、生徒を積極的に授業へ参加させる「アクティブラーニング」(AL)だ。

 一例はこうだ。現代文の授業で主人公の行動について問われる設問があったとする。従来は文章から答えを探し出すだけで完結するが、ALでは「なぜこの行動を取ったのか」と理由を推測した上で、全体で発表させる。さらに「この主人公が取った行動は現代社会ではどう捉えられるか」などと、1つの設問を深掘りしていく。

 ただ机に向かい、教師の言ったことをノートに写すだけという「旧態依然」とした授業からの脱却。岡田校長は「知識や受験のテクニックで終わらせるのではなく、社会で通用する人間となるためには必要なスキル」と説明する。

 ◆未来の自分を想像

 学業以外ではキャリア教育をスタートした。「今の自分と未来の自分をつなぐ学び」を掲げる。例えば、ホームルームでの1分間スピーチ。1分間、自分の夢や目標をクラスメートの前で語ることで、夢や目標に対する思いを深めると同時に、プレゼンテーション能力や聞く力といったスキルを磨く。

 さらに「ジョブシャドウイング」と呼ばれるプログラムも取り入れた。狙いは「働く大人のマインドを学ぶこと」。従来の「職場体験」とは一線を画し、卒業生らの協力も仰ぎながら、自分が目標とする職業に就いている人の1日に同行。感じたことを発表する。「仕事をする大人のマインドを感じ取ることで、生徒が未来の自分を想像することが目的の一つ」と岡田校長は語る。

 ◆大学の先に

 教育改革の成果は徐々に出始め、学校説明会には、延べ9千人の生徒や保護者が足を運ぶ。有名大学合格率の復調も期待されるが、岡田校長は「それが最終目標ではない」と話す。「大学を出て、この先、多様化していく社会でどんなことができるのか。『大学の先』を追求していきたい」と今後の目標を見据える。

 ラグビー部が第98回全国高校ラグビー大会で準優勝。硬式野球部は平成15年以来となる春の選抜大会出場を決めるなど学園全体が活気にあふれている。

 岡田校長は「生徒に『通ってよかったな。桐蔭学園にしてよかったな』。そう思ってもらえる学校にしていきたい。伝統も大事だが『挑戦』が桐蔭学園のDNAです」と力強く語る。「新しい進学校」にこれからも注目だ。

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【用語解説】学校法人桐蔭学園

 昭和39年に男子校として高校を設立し、現在では幼稚園、小学校、中学校、中等教育学校、高校、大学を運営するマンモス学校法人。平成30年度に高校が男女共学となり、31年度からは中学校の募集を停止し、中等教育学校に一本化する。高校は各界で活躍する卒業生が多いことでも知られており、著名な卒業生にプロ野球・読売ジャイアンツ(巨人)の高橋由伸前監督や俳優の織田裕二さんらがいる。

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