PR

地方 地方

【ZOOM東北】秋田発 国際教養大、地域貢献への挑戦 県内就職条件に奨学金

 全国トップレベルの教育県として知られる秋田。文部科学省が小・中学生を対象に行う全国学力・学習状況調査では毎回、高い実績を出し、授業を英語で行うなどユニークな教育の国際教養大学(AIU、秋田市)は一流企業への高い就職率で評価を上げている。ただこの2つの事例は必ずしもリンクしていない。課題だった地域貢献の一環でAIUは県内就職が条件の奨学金制度を新設する。(藤沢志穂子)

                   ◇

 AIU(Akita Intertnational University)は、県内企業からの寄付金1億円を原資とする新たな奨学金を平成31年度以降の卒業生を対象に新設する。県が掲げる成長5分野(航空機、自動車、情報、医療、新エネルギー)の企業に就職すれば、奨学金の返済を200万円まで助成する。関連分野の授業を増やし、在学中に学校訪問など地域活動に協力することを奨励する。「地域貢献の一環で活用したい」と鈴木典比古学長=写真=は言う。

 ◆平均学力、米に追いつく

 AIUは広義の一般教養「リベラルアーツ」を教える公立大学法人の単科大学として平成16年に開学した。いまや入試の難易度は一流大学並みで就職率はほぼ100%、一流企業からの求人が多数ある。米国の大学が学生の力を測るテスト「CLA」を実施、2017年度の平均学力は米国の平均に追いついた。

 「大学は日本では大都市に多いが、米国では各州に2つ以上あり、補完しつつ競争しあう。AIUもそのイメージに近い」と鈴木氏。

 課題は地域貢献だ。30年度在籍の学生中、県内高校の出身者は約14%。卒業生の大半が県外での就職か進学、留学の道を選び、県内就職は「1桁台」(鈴木氏)。「公立校としての職務を果たしていない」との指摘が多かった。

 付属の小・中学校、高校の創設を望む声もある。人口減少率や高齢化比率が全国ワーストの秋田で「県外の生徒が家族と一緒に移住すれば人口増につながる」との期待があるからだ。だが鈴木氏は「移住対策と教育は違う。AIUと同じ『とんがったブランド』の付属校をつくるのは難しい」と否定的だ。

 ◆保守傾向で停滞

 一方、文科省が小学6年生と中学3年生に実施した30年度の全国学力・学習状況調査で、県内の各教科の平均正答率は10教科中、5教科で全国1位。「少人数によるきめ細かな指導が功を奏した」(県教育委員会)。ただ、都道府県別の大学進学率は28年度で37・6%と、東京(72・7%)の約半分と、低水準が続いている。

 日本の多くの地方では、県立高校の名門校を頂点とする学閥があり、高卒で地元に就職する生徒が相当数あるなど、都会に比べれば必ずしも学歴の高くない層が地域を支えている現状がある。

 「親が子供を地元から離さない」「安定志向」などの保守的な傾向が、地方の停滞を招いている事実も否定できない。

 秋田では「テストで良い成績を取るだけで満足し、大学教育に対する関心が低いのではないか」と鈴木氏はみる。AIUの新たな奨学金制度が県内の大学進学率を高め、県外から優秀な生徒を呼び寄せ、地域おこしにつながる人材を育てられるのか。若い世代の可能性を広げられるような、運営の工夫が求められている。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ