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【いの一番】九州フィナンシャルグループ・上村基宏社長(66) 統合2年「良い不協和音」

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 肥後銀行と鹿児島銀行の経営統合によるグループ発足(平成28年9月)から2年たちました。まだ落ち着いておらず、経営会議では不協和音が響いている。といっても、悪いものではない。われわれにとって必要な「良い不協和音」だと考えています。

 歴史と文化と風土が違う2つの銀行では、結論は同じでもプロセスは違う。必ず「なぜそうするのか」と議論になる。両銀行が、互いにどんどん突っ込み、掘り下げる。その中で、「良いね」という所があれば取り入れる。統合効果は、経営会議でのやりとりにこそある。

 方向性は違って当たり前です。そもそも、違いを残すために一つの銀行にしなかった。けんかはしないが、競争はする。不協和音の連続は楽しい。むしろ、落ち着いてしまえば進歩がなくなります。

 議論してきた肥後、鹿児島両銀行の勘定系システム統合について、私の中で結論を出した。しばらくは統合できない。

 今年5月の大型連休明けに、肥後銀行が新システムを稼働する。鹿児島銀行が23年に更新した際、日本ユニシス製を採用した。それを分かった上で、肥後銀行は、日立製作所のものを採用した。

 コストをかけて作ったものを捨て、強引に一緒にして何の意味があるのか。今のシステムで、不自由は感じていません。

 もちろん、将来的に統合することはある。ただ次の更新時となると、早くても10年後になるでしょう。

 ◆銀行の役割

 マイナス金利政策が長期化し、金融業界全体は収益構造が傷んでいます。それでも、九州フィナンシャルグループ(FG)の傷はまだ浅い。貸出金も預金も数字は伸びている。現状でも5年は大丈夫だ。

 現在の資金需要の中身は、あまり良くない。企業が生きていくための運転資金は動いている。しかし、5年後10年後を見据えた前向きな設備投資が、出てこない。将来への不安が、根強いのでしょう。

 そんな環境で、銀行が果たす役割は大きい。われわれは、ヒト・モノ・カネはもちろん、情報と時間を持っている。

 九州はもちろん、国内外で今何が売れそうなのか、何を欲しがっているのか、そんな情報が、われわれにはある。多種多様な取引先からの情報はもちろん、自分たちでも調べている。4月に台湾・台北に事務所を新設します。中国大陸でのビジネスも含め、さまざま情報を足で稼ぎ、お客さまに提供する。将来的には、東南アジアにも拠点をつくりたい。米国やヨーロッパだってあり得る。

 「時間を持っている」とは、何年か赤字でも辛抱できる、ということです。融資や投資する際、しばらく後に返ってくればいいや、と中長期的な時間軸で動ける。一般企業がそんな余裕を持つのは、なかなか難しいでしょう。

 ◆カンフル剤に

 銀行がリスクをとって、顧客企業にビジョンを示さないと、地域を引っ張っていくことは難しい。「あなたやってください、私は見ているだけです」。そんな銀行はだめだ。

 行員には、自分が直接関わるような場面を多くしろと言っています。

 鹿児島銀行では、空港を活用した農水産物輸出プロジェクトをはじめ、さまざまな分野で行員が汗をかいている。ダイレクトに銀行の収益にはならない。それでも、取引先がもうかれば、回り回って銀行にもおこぼれがある。

 今までの銀行はおとなしかった。それで良かった時代もあったが、今は違う。

 「俺たちがやらなければ誰がやる」。そんな「おごり高ぶり」は大いに結構だ。地方銀行は、それぞれの地域で1番の会社なんです。

 鹿児島銀行は創業140周年を迎える今年、まちづくりにコミットする。

 鹿児島県は今、生き残るか否かの瀬戸際にある。県内43市町村で続いていけるのは一桁かもしれない。それぐらい、人口推計で厳しい数字が出ている。今の県民人口160万が、120万、100万となったときに、どうやって生きていくかという戦略が必要だ。われわれなりの未来予想図を出す。

 「銀行のくせに何だ」と言われるかもしれない。こてんぱんに、やられるかもしれない。それでも、穏健な意見は言いたくない。刺激的で、衝撃を与えられるような、カンフル剤になりたいですね。 (中村雅和)

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