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元暴力団員らを支援「悪役芸能事務所」 「こわもて」生かし社会復帰

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 元暴力団員、元不良といった“訳あり”な人たちが身を寄せる事務所が小金井市にある。いかつい顔に、耳には大きなピアスホール…。倉本宙雨(そう)さん(53)が主宰する「高倉組」は、普通の就職が難しい元暴力団員らの社会復帰を支援する「悪役俳優芸能事務所」。今年から元受刑者の就職支援にも乗り出す。(吉沢智美)

 ◆面接で「無理」

 「タクシー運転手になろうと思ったが、面接で顔を見られた瞬間に、『さすがに無理』と断られた」

 高倉組に所属する或布理萬(あるふ・りまん)さん(44)は、暴力団から離脱した後の体験を語り、「社会復帰もできないのかと絶望感があった」と振り返った。

 設立は平成23年。自らも元不良だったという倉本さんは、グラビアモデルのスカウト、ダフ屋などで生活していたが、東日本大震災をきっかけに「自分は何をやっているんだろうという悔しい気持ちになった」という。自分の経験を社会に役立てる方法として出した答えが高倉組だった。

 現在約70人が所属。テレビにやくざなどの悪役として登場するほか、悪役用の衣装やアクセサリーの手配なども行う。入るには、5年以上反社会的勢力との関係がない▽仕事を持ち収入面で安定している▽守る人がいる-の3つの条件をクリアしなければならない。

 組員は全員仕事を持っているが、前出の或布さんのように「社会復帰の道のりは険しい」と口をそろえる。悪役には役立つ容姿が、就職では足を引っ張る一因となるからだ。

 ◆応援で頑張れる

 今年からは、組員でもある建築業の吉田丸さん(53)らと連携し、元受刑者を対象に寮付きの就職支援を始める。吉田さんは「迎え入れてくれる所がなかなかない。自分はたまたまうまくできているが、頑張れるものがないと、社会復帰は厳しい」と訴える。

 「自分たちみたいなのは、人より努力をしないと認めてもらえない」と倉本さん。「高倉組で活動することで周りの人に応援してもらい、有名になることで、やくざには戻らないという気持ちになれる」と活動意義を語った。

                   ◇

 ■就労者わずか、厳しい道のり

 警察庁によると、平成29年に警察などの支援によって暴力団から離脱した人数は約640人で、同年に各都道府県の社会復帰協議会を通じて就労したのは37人にとどまっている。元暴力団員の社会復帰への道のりは厳しいのが実情だ。

 同庁によると、23~27年に暴力団員を離脱した人数は9195人。しかし、離脱後2年間で検挙された人数は2660人にのぼる。罪種別検挙件数では窃盗が全体の12・3%を占め、生活困窮の典型的犯罪である万引が最も多い。

 離脱・就労支援に力を入れている福岡県では、30年4月から支援の新制度をスタート。「組織から危害を加えられる恐れがある」「金銭の援助などを頼める人がいない」などの条件を満たせば、避難先の宿泊費や就職面接の交通費を給付する。12月末までに8人に適用された。担当者は「就労支援は究極の暴力団対策の一つ。離脱するだけでは意味がない。二度と戻さないようにする施策が必要だ」と話している。

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