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日田彦山線の再開見通せず JR九州が年1.6億円分「支援」要請 沿線自治体は反発

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不通が続く日田彦山線の線路。復旧議論が長期化している=福岡県東峰村
不通が続く日田彦山線の線路。復旧議論が長期化している=福岡県東峰村

 JR九州が、平成29年7月の九州北部豪雨で被災した日田彦山線の不通区間について、路線維持には年間1億6千万円の収支改善が必要として、沿線自治体に支援を求めたことが17日、分かった。この提示に自治体は反発し、両者の意見の隔たりは大きい。鉄道施設を公有化する上下分離や、バス転換論が再燃する可能性もある。(高瀬真由子)

                   ◇

 日田彦山線は、添田(福岡県添田町)-夜明(大分県日田市)の29・2キロで不通が続く。JR九州が公表した同区間の収支状況(28年度)は、運賃など収入2800万円に対し、運行に必要な経費が約2億9千万円だった。差し引き年間2億6千万円の赤字だった。

 JR九州は、16日に開かれた復旧会議の検討会で、鉄道維持に年間1億6千万円規模の収支改善が必要と提示した。

 さらにJR九州は、この30年間でワンマン運転拡大など省力化を進め、運行コストを半減させたとし、「これ以上のコスト削減は厳しい。収入を増やすことで改善を図りたい」と主張した。

 一方、沿線自治体は30年7月に、地元イベント開催や買い物特典など、利用促進策を提示している。16日の会議では、利用促進策による増収効果を検証した。

 ただ、人口減が著しい地域で、年間1億6千万円もの増収は困難だ。JR九州の主張は事実上、運行への補助金や固定資産税の減免を求めたとも解釈できる。

 沿線自治体は反発する。

 不通区間にある福岡県東峰村の渋谷博昭村長は「同意できる提案ではない。なぜ日田彦山線だけに地元負担を求めるのか分からない。鉄道は全九州のネットワークとなっており、全体をみて考えてほしい」と訴えた。

 ■将来像の参考

 日田彦山線の復旧費は56億円と見込まれる。改正鉄道軌道整備法を活用した場合、JR九州が28億円を負担し、残りを国と自治体が折半する。

 上場企業であるJR九州にとって、28億円をかけて年間2億6千万円の赤字を出す路線を復旧させるのは、株主の理解を得られない。

 自治体にとっても、簡単に補助には踏み切れない。他の赤字ローカル線でも同様の措置が必要となるからだ。

 昨年10月、JR九州の社長や福岡、大分両県知事らのトップ会談で、鉄道復旧を進めることを確認した。今年4月をめどに会議を終える方針も示された。

 だが、日田彦山線の議論は、他の不採算路線の将来像を描く上での参考例となる。そのため、JR・自治体両者とも安易な妥協はできない。今春には統一地方選があり、首長・議員とも沿線に不利益を強いる決断は難しい。福岡県の小川洋知事は17日夕、産経新聞の取材に「先ほど報告を受けた。これから金額の内容を精査する」と述べた。

 決着の見通しは立たず、バスでの代行輸送が長期化する可能性も大きい。

 日田彦山線と同様に、豪雨災害に遭ったJR東日本の只見線の場合、復旧費は81億円で、国、自治体、JRがそれぞれ3分の1を負担し、さらに福島県が施設を維持、JRは運行を担う上下分離方式を導入して、鉄道を維持することを決めた。

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