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九電玄海2号機廃炉へ 原発新増設の議論急げ 電源構成維持は安定供給に不可欠

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 九州電力による玄海原発2号機(佐賀県玄海町)の廃炉方針は、大手電力会社が将来へ抱く不安を改めて示した。経営環境が厳しくなり、運転効率が低い原発の保有は難しくなった。全国的に廃炉が相次ぐ中で、原発という日本に欠かせないエネルギー技術を維持するには、新増設について、一日も早く議論を始める必要がある。(九州総局 中村雅和)

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 玄海2号機は当初から、再稼働が難しいとの見方があった。出力55・9万キロワットと小さい上に、平成33年に運転開始40年を迎える。新規制規準への対応や20年の運転延長には、数千億円単位の追加投資が必要だ。1千億円の優先株の取り扱いなど、財務上の課題を抱える九電にとって、余りに重い負担となる。

 さらに、省エネ技術の進化や人口減少で、電力需要は右肩下がりだ。九電の販売電力量は29年度768億キロワット時と、過去最大だった881億キロワット時(19年度)に比べ、13%下がった。近い将来、需要が持ち直すとは考えにくい。

 市場縮小に加え、小売り自由化によって競争が厳しくなった。

 九電首脳は「需要はどんどん落ちる。余剰電源設備があればあるほど、(価格競争力が低下し)お客さんを奪われる」とこぼす。

 電源構成の「筋肉質化」は急務であり、玄海2号機の廃炉は妥当といえる。

 ただ、九電の原発政策の変更を意味するものではない。玄海3、4号機と川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)という中大型の原発4基は順調に稼働している。

 池辺和弘社長は再三、「電源構成は片張りではいけない」と強調する。

 エネルギーは国民生活の基盤だ。供給企業は、世界情勢が大きく変動した際にも、供給が途絶しないよう努力しなければならない。

 原発、再生可能エネルギー、火力などを組み合わせ、最適な電源構成を重視する九電の姿勢は、不変だ。

 九電は今後、玄海2号機の廃炉について最終決定する。そこでは、交付金などの収入が減る地元自治体への対応が焦点となる。玄海町の脇山伸太郎町長は「廃炉の話は寝耳に水だ」と語るなど、波紋は広がる。

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 日本全体のエネルギー政策は、腰が定まらない。

 経済産業省は平成42(2030)年度の原発比率を20~22%とする目標を掲げる。

 だが、原子力規制委員会による審査が慢性的に長期化しており、新規制基準下で再稼働した原発は、全国で9基(合計出力913万キロワット)にとどまる。

 さらに東京電力福島第1原発事故以降、国内では玄海2号機を含め、原発21基で、廃炉が決定するか、方針が固まった。こうした原発の合計出力は1587・7万キロワットに達する。

 さらに、2030年度以降、全国の原発が、次々に運転期限を迎える。新増設が進まなければ、原発比率は維持できない。

 原発建設には、地元同意や審査を含め、10年以上の時間がかかる。時間を浪費し、結果的に「原発ゼロ」を招けば、電力の安定供給が揺らぎ、国民生活に大きな影響をもたらす。

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