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【ハイ檀です!】カリフラワー

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規格外の大きさとなったカリフラワー
規格外の大きさとなったカリフラワー

 余り意識したことはなかったが、我ら夫婦は結婚して50年は優に過ぎている。ボヤボヤしていると、ダイヤ婚式なんてことになるだろう。保険証も後期高齢者医療被保険者証、というややこしい名前のついたペラペラの紙切れが一枚。せめて、普通のカードと同じサイズにしてくれれば、しまい勝手もよいし破損の心配もない。昨年の秋、茶をこぼした際、ふやけさせてしまったので再発行をしてもらった。

 更に嫌なのは、自動車運転免許証の書き換えが近づくと、記憶力といった認知機能の検査を事前に行わないといけない。昨今、高齢者が運転をしていて大事故になると直ぐ報道が取り上げるし、交通違反でも起こそうものならばかなり厳しい処分が下され、免許証を返納するように諭されるとか。転ばぬ先の杖なのだろうが、社会が核家族化して行くにつれ、車がないと生活に支障を来たす老人が多々いることは紛れもない事実。

 と、政治の貧困さに責任を全部押し付け、いらぬ文句をぶつぶつと呟(つぶや)きながら毎日を妻とともに過ごしているのだが、素晴らしいことや嬉しいことも多々ある。正月早々、妻が満面に笑みを浮かべて畑から戻って来た。その掌には、キャベツくらいの緑の物体が乗っている。緑の皮を捲(めく)ると、白い塊が。そう、カリフラワーであった。それにしてもでかい、秤(はかり)にかけて見ると2・7キロもあるではないか。余りにも大きいので、どこかに難があるのではと調べたが、かなり美しい食べ頃のカリフラワー。

 しかし、こんなに大きいとスーパーやデパ地下では規格外の大きさになり、絶対に店頭に並ぶことはないだろう。通常の大きいものに比べても3倍は優にある。早速湯に潜(くぐ)らせて、マヨネーズとヨーグルトを合わせたホワイトソースで味わったが、カリフラワーの仄(ほの)かな甘みと香りが相まって、新年にふさわしい爽やかな味であった。

 だが、息子や孫が訪れてはいるものの、孫達はほとんどカリフラワーを食べないし、大量の食材が残ってしまうのである。そこで妻君は知恵を絞った。冷凍保存をしてしまおうと言うのだ。ただ茹でて冷凍庫に入れるのではかさ張ってしまう。そこでタマネギとカリフラワーを適宜の大きさに刻み、香りづけ程度にバターを加えて色が付かぬようにペースト状に炒める。全体にしんなりしたところで、今度はミキサーにかけるのだが、水分が足りないので牛乳か水を足しながらトロトロにする。この状態にして小分けにして冷凍庫に保存しておけば、いつでもカリフラワーのスープが楽しめる訳だ。当然のことながら、解凍して鍋に入れた際には、もう一度牛乳やコンソメを足して味を整えるのだが、至って簡単。注意すべき点は、カリフラワーの色を損なわないように白く仕上げることだろうか。牛乳の他に生クリームやサワークリームを用いると、味が微妙に変化するから面白い。

 我が菜園には、カリフラワーの仲間のブロッコリーやスティックセニョールなどが一緒に植わっている。他にも、青汁に用いるケールも植えている。このケール、日本では青汁用に使われることが多いが、千切りキャベツのように細かく刻んでバター炒めにして塩胡椒で味を整えると大変においしい。ポルトガルやブラジルでは極めてポピュラーな野菜で安かったので、僕も南米放浪時代にはケールを炒めて安い卵と共に、毎日のようにご飯にかけて味わっていた。面白いことに、目玉焼きとケール炒めは、日本人が苦手とする細長いインディカ米にもよく合うのだ。因みに、インディカ米とは日本人が眉をひそめる外米である。

 このキャベツの仲間の有難い野菜達は、全てアブラナ科の植物。我々が日常食べている野菜の多くはアブラナ科と言っても過言ではない、例えばナタネ、カブ、ハクサイ、カラシナ、コマツナ等々。分かり易く言うと、これから直ぐに見られる菜の花がアブラナ。だから、野に咲く菜の花のつぼみを一握り採集して、これをサッと湯に通してマヨネーズで味わったら旨いと思う。我が家の菜園にはこのアブラナ科の野菜が多くあるが、悩みのタネは虫。チョウチョチョウチョ菜の葉に止まれ、なんて童謡があるけれどモンシロチョウの大好物がアブラナ科の仲間。今年もまた、チョウチョの前身である青虫との葛藤を、始めなくてはならないのである。

                   ◇

 だん・たろう 1943年、作家・檀一雄氏の長男として東京に生まれる。CFプロデューサー、エッセイストとして活躍し、「新・檀流クッキング」などの著書多数。妹は女優の檀ふみさん。

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