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【黄門かわら版】「八郷」という理想郷

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 いわゆる「平成の大合併」によって、全国の市町村数は約半数に減少したといわれる。県内でも消えた自治体は多い。人口約3万人の「八郷(やさと)町」は石岡市との合併によって約半世紀の幕を閉じた。

 昭和30年1月、八郷町は1町7村が合併して誕生した。町名は近隣の「8つの郷」に由来。町歌に「筑波三山に抱かれて」「平和の理想郷」と謳(うた)われた。『石岡市・八郷町 合併の足跡』によると、八郷地区は大和国家時代、筑波周辺に勢力を張った豪族の本拠地で、政治文化の中心だったことが想定されるという。

 茅葺(かやぶき)き屋根の民家が点在するのはその名残なのか。八郷は「にほんの里」100選にも選出。サイクリングロードを走れば里山の魅力を“五感”で堪能できそうだ。八郷の名は合併を機に地名からは消えたものの、学校や商工会などにその名をとどめる。JAやさとが手がける「やさと納豆」は大豆にこだわる人気商品でファンも多い。

 深い静寂とひんやりと澄み切った空気に包まれる。そこは、境涯を忘れさせてくれる別世界だ。中でも冬空の夕暮れ時が狙い目である。名峰・筑波山に沈む夕日を眺めながら、中腹の露天風呂で冷え切った体を温める。まさに至福の時間である。

 石岡市八郷総合支所の正面に「閉町記念碑」が建立されている。柿岡町、小幡村、葦穂村、恋瀬村…。地元の人にとっては心に響く懐かしい町や村である。(日出間和貴)

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