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「多国籍共生」比重増す川崎市 池上町問題、目をつむる姿勢に疑義

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 6月の米朝首脳会談など、朝鮮半島がらみの取材で、池上町だけでなく、市内のコリアンタウンや桜本地区など多くの在日朝鮮人・韓国人が住む地域を何度も訪れた。住人と話すたびに、ネット上にあふれる偏見や誹謗(ひぼう)・中傷が、いかに根も葉もないものが多いかを感じた。

 ◆偏見・差別の標的

 川崎市には近年、「多国籍共生」というテーマが、一層重みを増してのしかかっている。ヘイトスピーチ(憎悪表現)をめぐる対立が激しさを増しているからだ。JR川崎駅前では街宣活動に伴う対立が起き、6、12月には市教育文化会館で開かれた講演会が物議を醸した。

 そんな中で、多くの在日朝鮮人・韓国人が居住する池上町は、排斥を叫ぶ勢力にとって格好の標的だ。「アンダーグラウンド」などと称して、下世話な興味をあおる出版物もある。

 池上町のことは、新聞などのメディアがほとんど扱ってこなかった。従ってインターネット上に発信されている池上町の情報といえば、偏った認識・主張に基づくものばかりだ。記者として公正・中立を心がけながら取材し、現状を発信することが、報道機関の責務だと感じている。

 JFEスチールの担当者は、しきりに「住民が差別されるかもしれないから(池上町には)触れないでほしい」と口にする。だが、問題に目をつむる姿勢こそが不確かな情報の拡散を招き、排斥の風潮を助長するのではないだろうか。

 その点で、正面から向き合うことを選択し、「伝えてほしい」と記者室を訪れた市幹部の行動には大きな決意を感じた。(外崎晃彦)

                   

 【用語解説】池上町

 川崎市の臨海部に位置し、大部分がJFEスチールの所有地。北側一帯は同社と貸借契約などが結ばれないまま多くの人が家を建てて居住する。同社によると、戦後の混乱期を経て、同社の前身の日本鋼管で働いていた労働者が仮小屋を建てて寝泊まりしていたエリアで、朝鮮半島出身の労働者が多かったため、いまも在日朝鮮人系住民の比率が高い。近年は外部から日本人や外国人の新規居住者が流入。行政の管理が及びにくく、無秩序に建物が立ち並ぶ中で放棄家屋が増え、防災・防犯面で不安が高まっている。

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