PR

地方 地方

【ZOOM東北】福島発 小売店営業からCMまで…県農産物流通課の奮戦

Messenger

 ■風評打開へ地道に派手に

 先月24日に行われた台湾での住民投票で、日本の5県産農水産物の禁輸継続が決まるなど、東京電力福島第1原発事故以来、福島県産品への厳しい状況は続く。そんな中で根強い風評被害打開と販路拡大に向け、PRや各方面への働きかけを進めているのが県農産物流通課だ。仕事内容はスーパーでの売り込みから海外政府との調整まで多彩。その取り組みには、足を使った地道な動きと目を引くパフォーマンスの両面がある。(内田優作)

                  ◇

 同課の主な役目は県産農水産物の販路拡大と各国の輸入規制解除に向けた働きかけだ。課には東京都や石川県などからの出向者を含め、37人が勤務している。

 ◆目標を上方修正

 10月に開始した「ふくしま売米隊」は、県産米の県外での取り扱いを増やすため、課員が首都圏の1都3県の小売店に売り込みを図るもの。今年度1千店舗での成約を目標としたが、1カ月で達成、目標を1200店舗に上方修正して活動する。「隊員」こと課員は1日約10店舗を回り、ときには飛び込み営業をすることもあるという。

 県産農水産物の振興に当たってはPRも重要だ。平成24年からTOKIOをイメージキャラクターに起用、テレビコマーシャルなどを放映してきたが、新たな展開として今年3月には動画投稿サイト「ユーチューブ」でアニメ「食べちゃったっていいのにな」を公開した。人気声優の上坂すみれさんや梶裕貴さんらを起用、桃の「あかつき」や米の「天のつぶ」を擬人化したキャラクターの日常を描いた。

 アニメ公開について、鈴木秀明課長は「安心安全と言って数値を伝えても、印象はなかなか変わらなかった」と背景を語る。10、20代へのアピールに加え、「視聴した若い層を通して県産品の魅力を親世代に伝える」という狙いもあった。公開すると再生回数は合計で1千万回を突破、海外からもフランス語版が約100万回以上の再生を記録した。

 好調に見える同課のPRだが、壁にぶつかったこともあった。今春報じられたTOKIOのメンバーによるわいせつ事件はこれまでのPR戦略を揺るがす出来事だった。「最初にニュースを知ったときは大変なことになったと思った」(鈴木課長)。一時は、県庁に掲示していたポスターを撤去する事態にもなったが、県庁に寄せられた約600件の電話やメールによって起用継続を決めた。「約9割が継続を求める声。メンバーの皆さんは自ら農業にも携わり、福島への気持ちが強い」

 ◆輸入規制対応が課題

 現在、課の最大の課題は25カ国・地域においてとられる県産農水産物に対する輸入規制措置への対応だ。

 鈴木課長は中国を例に取り、「本来、『福島』はいいイメージだったんですよ。なんといっても『福の島』ですからね。それが原発事故のイメージがついてしまった。もっぱら福島の名前が出るのは3・11の時期で、どうしても原発事故の映像とセットで記憶されてしまう」と表情を曇らせる。解決のためには「安全安心を示すほかない。他の商品と同じように扱ってもらうようにしなければ」。来年1月、内堀雅雄知事が香港に渡り、現地関係者に対して、県が行う放射性物質対策や食品の安全性をアピール、輸出規制解除を求める予定だ。

 風評対策について「ふわふわとした雲と付き合っているようだ」と話す鈴木課長は「根本には不安がある」とみる。そのような状況で大切にするのは「来て、見て、食べてもらうこと」だ。オンラインストアで県産品を購入した客の中には、福島を訪れる人も多いという。一度でも食べてもらうことが、風評払拭の鍵になるのかもしれない。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ