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埼玉教員残業代訴訟 「義務ない」、県は争う姿勢

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 残業が常態化しているのに、残業代が支払われないのは違法だとして、県内の公立小学校の男性教員(59)が県を相手取り、約240万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、さいたま地裁(石垣陽介裁判長)で開かれた。県側は支払い義務はないとして、請求棄却を求めて争う姿勢を示した。

 男性は法廷で意見陳述し、「働き方改革が叫ばれている今こそ、教員の仕事を明確にし、きちんと残業代を支給して労働時間を減らすことが求められている」と訴えた。

 公立学校の教員は「教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」で基本給の4%にあたる「教職調整額」が支給される一方、時間外勤務手当や休日勤務手当は支払われていない。過去の判例では、こうした残業は自主的なもので、残業代は支払われないとされてきた。これに対し、男性側は学校側から残業を強いられている実態があると主張している。

 傍聴していた元小学校教員の東和誠さん(32)は「(原告の男性教員と)思いは一緒。残業代なしで働かされている現状を世の中に知ってもらう大きな一歩だ」と強調した。

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 ■原告男性「現場の実態知って」

 「私たちの仕事は残業代を出すのに値しないのか。壊れつつある教育現場の実態を知ってほしい」。原告の男性教員は産経新聞の取材に応じ、こう訴えた。

 県内の公立小学校に勤務している男性は勤続38年、来年に定年を迎える。

 法廷闘争に持ち込んだのは、自分たちの世代で長時間労働に歯止めをかけなければならないという使命感だという。これまでの教員生活で、体を壊し心も病んで辞めていく多くの同僚をみてきた。仕事を優先し出産を諦めた女性教員もいたといい、「『働かせ放題』の現状が、教員に子育てさえ許さないような悪夢を生んだ。いくら働かせてもお金を出さなくてもいいなら、仕事が増えていくのは当たり前だ」と語る。

 こうした現状を踏まえ、教員志望者が減ることも懸念する男性は「教員は人と向き合い、成長を見届けられる魅力的な仕事だ。裁判を契機に労働環境が少しでも良くなってほしい」と力を込める。

 近年、教員の長時間労働をめぐる問題に注目が集まっている。今月4日、給特法改正を求める過労死教員の遺族らの署名約3万2500筆が文部科学省と厚生労働省に提出された。

 「教育現場では長年、長時間労働の実態とかけ離れた制度がまかり通ってきた」と指摘するのは、約10年前に川口市の教員の時間外労働について争った佐々木新一弁護士だ。「現場の教員の自己犠牲に頼り続けるのは誰の目から見てもおかしい」と述べ、早急に改善するよう求める。

 名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)は「国の根幹を担う教育現場が疲弊している現状が明らかになりつつある。早急に取り組まなければならない重要な課題だ」と指摘する。 (竹之内秀介)

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