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「危険運転致死」どう判断 元交際相手「罪償って」 東名あおり事故、あす判決 神奈川

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 大井町の東名高速道路で昨年6月、あおり運転を受けて無理やり停車させられた夫婦がトラックに追突され死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた石橋和歩(かずほ)被告(26)=福岡県中間市=の裁判員裁判の判決公判が14日、横浜地裁(深沢茂之裁判長)で開かれる。弁護側は危険運転致死傷罪は「停車後の事故に適用できない」と無罪を主張し、予備的訴因の監禁致死傷罪の成立についても争った。検察側は懲役23年を求刑したが、司法判断はどうなるのか。注目が集まっている。

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 事故時は石橋被告の車も停車しており、運転中の行為に対する処罰が前提の危険運転致死傷罪が、停車後の事故に適用されるかどうかが最大の争点だ。

 ◆「一連の行為」

 検察側は3日の初公判で、危険運転の構成要件「重大な危険を生じさせる速度」の解釈に関して、今回の現場が低速走行や停車が原則禁止の高速道路という特殊性を挙げ、追い越し車線上に停車させた行為は速度がゼロでも十分に危険だと指摘。さらに、「停車とその前の妨害運転は一連の行為で、死亡との因果関係が成立する」と主張した。

 一方、弁護側は「妨害運転と夫婦の死亡に因果関係はない」と述べた上で、監禁致死傷罪についても被告に監禁の認識があったか疑問だとした。証拠調べで検察側は停車時の車間距離は約2メートルなどと、あおり運転の詳細な状況を説明した。

 4日の公判には、死亡した萩山嘉久(はぎやま・よしひさ)さん=当時(45)=夫婦の高校2年の長女(17)が、法廷と別室を映像や音声でつなぐビデオリンク方式で証人として出廷。「世の中のあおり運転を少しでも減らすために重い刑罰にしてほしい」と訴え、石橋被告の車に追い抜かれて前方に割り込まれた後に減速された際は、「ぶつかるかもしれないと思った」と話した。

 ◆ようやく謝罪

 また、追い越し車線で停車させられると「逃げる手段がないと思った」と述べ、トラックが追突後に次女(13)と一緒にいた病院で両親が亡くなったと祖父母から聞いた際の感想を「もう二度と会えないと思い、悲しくなった」と声を詰まらせて語った。

 5日には被告人質問が行われ、石橋被告は前方を向いたまま小声で「こういう事故を起こして申し訳ないことをしたと思います。本当にすみませんでした」と述べ、ようやく謝罪。弁護側の質問に、石橋被告は現場直前のパーキングエリアで駐車方法を注意されたことに「かちんときた。むかついて追い掛けた」と話し、停車させたことで追突事故が起きると思わなかったのかと尋ねられると、「その時は考えていなかった」と答えた。

 一方、検察側の質問で、石橋被告の車に同乗していた元交際相手の女性から止められてもあおり運転を続けたことや、停車後に夫婦や長女が何度も謝罪してもすぐに暴行をやめなかった理由を問われると、「覚えていない」「分からない」を繰り返した。

 ◆「十分に反省を」

 この女性は7日、証人尋問のため出廷し、石橋被告に対して「罪はちゃんと償ってほしい。二度とこんなことはしないで」と訴えた。弁護側の質問で女性は、夫婦の車からは子供の泣く声が聞こえ、夫に暴行する石橋被告に「子供がいるからやめて」と言うと、ようやく収まったとし、検察側に「被告を止めなかったらどうなると思ったか」と問われ、「高速道路なので、ひかれて最悪は亡くなると思った」と述べた。

 また、石橋被告の父親もこの日、証人として出廷。石橋被告に向けて「自分のしたことを十分反省してほしい」と語った。女性や父親の言葉に、石橋被告は何を思ったのだろうか。

 初公判の後、記者会見に臨んで弁護側の無罪主張に「信じられない」と憤った萩山さんの母、文子さん(78)。被害者参加制度を利用して、10日の論告求刑公判で「私の何倍もの苦しみを味わってほしい」と意見陳述した文子さんの言葉は、果たして石橋被告の心に届いたのだろうか。そして、一般の人から選ばれた裁判員らは、どう判断を下すのか。国民が注目している。

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【用語解説】東名高速夫婦死亡事故

 平成29年6月5日夜、大井町の東名高速道路下り線で、静岡市の一家のワゴン車が大型トラックに追突され、夫婦が死亡、娘2人がけがをした。直前に別の車からあおり運転を受けて無理やり停止させられていたことが判明し、県警は同年10月、石橋和歩被告(26)を自動車運転処罰法の過失致死傷容疑で逮捕。横浜地検は同月、同法の危険運転致死傷罪で起訴し、停車させて一家を現場にとどまらせた行為も監禁致死傷罪ととらえ、予備的訴因として後に追加した。

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