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【島国を灯す インドネシアと九州企業】九電工の「本気」に地元注目

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スンバ島の発送電施設を視察するインドネシアのエネルギー鉱物資源省の幹部(中)=11月21日(九電工提供)
スンバ島の発送電施設を視察するインドネシアのエネルギー鉱物資源省の幹部(中)=11月21日(九電工提供)

 ■離島に発送電システム、稼働から1年 海外での電源開発、収益の柱に

 九電工が1年前、インドネシアの離島、スンバ島に導入した発送電システムが着実に運転実績を上げ、同国政府も関心を寄せる。太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、送電量を安定させた。九電工は、インフラ輸出に注力する日本政府の後押しも受け、インドネシア事業を次世代の収益の柱に育てる。(中村雅和)

 10月25日、インドネシアのバリ島で、同国のエネルギー鉱物資源省の会議が開かれた。

 「日本の九電工の技術で、太陽光発電所からの送電量が、以前の1万7200キロワット時から、14万3千キロワット時と8倍以上に増えた」。インドネシア国有電力会社(PLN)の担当者の報告に、会場はどよめいた。

 九電工は昨年12月、スンバ島で新たな電力供給システムの運転を始めた。

 島内にあった出力400キロワット分の太陽光発電パネルと、改良型の鉛蓄電池を組み合わせ、200~230キロワット時の電力を、需要に応じて安定して送る。事業には、日本の環境省も補助した。

 稼働から1年、大きなトラブルはない。気象データから発電量を予測するシステムや、機器の状態を遠隔監視する能力など、改良を重ねる。

 日本とインドネシアの電力事情は、大きく異なる。

 PLNの計画によると、インドネシアの電力需要は、年平均8・7%の増加が見込まれる。首都ジャカルタのあるジャワ島や、スマトラ島などでは大規模な火力発電所建設が進み、電力網も安定している。

 だが、同国は大小1万3千もの島からなり、小さな島のインフラ整備は遅れが目立つ。電力網が脆弱(ぜいじゃく)なため、発電所の能力を最大限生かせないことが多い。停電も日常茶飯事だ。同国政府は、離島の電力網整備や、電力価格を抑制する目的でPLNに莫大(ばくだい)な補助金を支払っている。この補助金が、国家財政の大きな負担となってきた。石炭火力への逆風も強い。

 離島に自立した電源ができれば、島民の生活向上に貢献する。

 日本では、野放図な拡大で「厄介者」となりつつある太陽光発電も、インドネシアでは、小規模な島を照らす電源として、大きな可能性を秘める。

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 現地で注目を集めるもう一つの理由が、九電工の「本気度」だ。

 同社の西村松次社長は9月6日、ジャカルタを訪問し、同国政府の研究機関「技術評価応用庁(BPPT)」のウングル・プリヤント長官=当時=と面会した。ウングル氏は九州大学大学院に留学経験がある知日派だ。関係者によると、ウングル氏は九電工の取り組みを高く評価し、「引き続き協力を惜しまない」と述べたという。

 同月12日には、西村氏が会長を務める九州・インドネシア友好協会が福岡市で、インドネシアの独立73年の祝賀会を開いた。来賓の駐日インドネシア大使、アリフィン・タスリフ氏は「高い技術を持つ九電工の取り組みは、非常に有用だ」と述べた。

 トップの西村氏が先頭に立つだけでなく、九電工はインドネシアで、30年以上にわたって電源開発に携わってきた永山英一氏を、国際事業部顧問に迎え、中央政府だけでなく、地方政府との関係を強化した。

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 プロジェクトは、九電工の将来への貢献も期待される。

 九電工は、2019年度中に、インドネシアの他の地域でも、スンバ島と同様のシステムを受注できるよう、商談に取り組む。

 スンバ島の「現地ショールーム」が商談の武器となる。実際、バリ島での会議から間もなく、エネルギー鉱物資源省の再生可能エネルギーなどを担当する部局のトップが、スンバ島の施設を訪れた。

 日本政府も、後押しする。インドネシアでの一連のプロジェクトは、経済産業省の平成30年度「インフラの海外展開促進調査事業」に採択された。

 現地における技術向上や、さらなるコスト削減など課題は多い。それでも、人口2億5千万人のインドネシアは、魅力的なブルーオーシャン(未開拓市場)だ。九電工は発電所の自社開発や、電力の卸売り事業も視野に入れる。

 プロジェクトを先導してきた九電工の田中義朗上席執行役員は「会社の業績が好調な今こそ、将来への投資が可能だ。近い将来、国内の工事が落ち込んでも、海外事業で収益を維持、拡大できるよう、今後も手を打ち続ける」と語った。

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