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「生活の足」地域で確保 高齢者の免許自主返納後押し 竜王町、ボランティアが送迎

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 高齢ドライバーの事故が相次ぎ、運転免許証の返納を促す動きが広がる中、竜王町ではボランティアが高齢者を車でスーパーなどに送迎する「お出かけ支援事業」を通じ、返納後の課題となっている移動手段の確保に地域を挙げて取り組んでいる。事業を運営するボランティアグループ「りんりんちょボラ」代表の赤佐九彦さん(65)は「高齢者が安心して免許証を返納できるような地域にしたい」と意気込んでいる。(花輪理徳)

 ◆買い物支援

 11月21日(水曜日)の午前11時、りんりんちょボラの職員が竜王町の林公民館に「お出かけ支援便」のステッカーを貼った車を乗り付けた。「スーパーに車出しますよ」と呼びかけると、健康体操の集まりを終えた高齢者が続々と車に乗り込んでいった。

 スーパーに着くと、りんりんちょボラの職員が一人一人に買い物カートを渡し、荷物が多いときは車への積み込みも手伝う。利用者の巻本君江さん(81)は「自分で運転するのは怖いのでありがたい」と喜ぶ。

 340人いる住民の32%を65歳以上の高齢者が占める竜王町林地区。近くのバス停に停まるバスは1時間に1本だけで、最も近いスーパーまで約3キロある。

 林地区では昨年から、りんりんちょボラの職員が高齢者を車に乗せて買い物などに連れ出す「お出かけ支援事業」を行っている。公民館で水曜日に開かれる健康体操の集まりの後にスーパーまで運行する2週間に1回の「定期便」と、隣接市町までリクエストに応じて運行する「予約便」を用意しており、毎回3~4人の高齢者が利用。燃料代など運行にかかる費用は町からの補助金や利用者の寄付によってまかなっている。

 ◆移動に不安

 県警のまとめによると、高齢化の進展に伴い、65歳以上の高齢ドライバーの数は増え、平成29年の時点で22年に比べて約47%増加。一方、年間の自主返納者数は4334人と全体の約2%にとどまっている。

 返納に踏み切れない背景には移動手段がなくなることへの不安がある。とりわけ、公共交通が十分に普及していない地域に住む高齢者にとって車は買い物などに必要な「生活の足」だ。

 警察庁が27年に行った調査では免許返納をためらう人の約70%が「車がないと生活が不便になる」ことを理由に挙げており、返納後の移動手段の確保が大きな課題となっている。

 ◆事故きっかけ

 林地区では昨年6月、住民の高齢女性がミニバイクを運転中に隣の地区に住む高齢女性が運転する軽トラックと衝突して亡くなる事故が発生。多くの高齢者が運転を続けている現状に危機感を抱いた地元自治会が「お出かけ支援事業」を発案し、町が補助金を支援するモデル事業に応募した。

 自治会有志でつくるりんりんちょボラが「地域の力で免許証を返納した高齢者を支えたい」(赤佐さん)と、同年12月から、お出かけ支援便を試験運行し、今年4月から本格運行をスタートさせた。これまでに少なくとも2人が免許証を返納したという。お出かけ支援便を毎回利用しているという村田茂さん(82)は「運転免許証の有効期限が来年切れるが、更新はしないつもりだ」と話す。

 県警高齢者交通安全推進室の矢野直人室長は「高齢者の交通安全は警察の力だけでは実現できない。地域が問題意識を持って取り組んでいることは心強い」と大きな期待を寄せている。

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