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【ZOOM東北】岩手発 県産リンゴ初のカナダ輸出 甘さ、大きさで勝機

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 岩手県産リンゴが12月、初めて太平洋を渡ってカナダに輸出される。国産のリンゴとしても初めてのカナダ輸出だ。手がけるのは県内陸中部の盛岡市(旧玉山村を除く)と紫波町、矢巾町を営業エリアとするJAいわて中央(岩手中央農協)。3市町でこの秋に収穫された選りすぐりの6・5トンを輸出する計画だ。(石田征広)

 国内を代表するリンゴ産地は青森県だ。平成29年の都道府県別生産量(農林水産省)では、1位が青森の41万5900トンで国内生産量のほぼ6割を占める。それ以下は大きく水を空けられ、2位が長野で14万9100トン、3位が山形で4万7100トン、岩手は4位で3万9600トンだ。

 ◆台湾などで青森圧倒

 輸出も主役は圧倒的な生産量を誇る青森。その歴史は戦前にさかのぼる。輸出の9割相当は青森産とされている。29年産リンゴの輸出先トップは、旧正月の贈答用リンゴの需要がある台湾の78億2千万円。リンゴの輸出総額109億5千万円のほぼ7割を占め、2位は香港の24億6千万円。

 青森県産は主要輸出先の台湾と香港でも圧倒的な知名度を誇り、現地の価格決定の指標になっている。岩手は生産量が青森の10分の1以下で輸出も後発組。県内7農協でリンゴ輸出に取り組んでいるのもJAいわて中央だけだが、カナダ輸出には大きな意味がある。

 「カナダの果物の消費量は日本の5倍。盛岡市と姉妹都市関係にあるビクトリア市(カナダ)からの交換留学生の話によると、ランチには必ずリンゴが入っていて、生野菜感覚で食べているそうです」と同JAの担当者は説明する。

 「カナダのリンゴは小粒で甘みが少なく、輸出に向けてカナダからきた検疫官がこちらのリンゴを食べて、その甘さと玉の大きさに驚いていました。こちらの中玉でもかなり大きいそうです。将来、カナダは有力な輸出先になると期待しています」

 ◆価格決定の基準に

 何より、いの一番にカナダに輸出すれば岩手県産リンゴが現地の価格決定の基準になることが期待でき、生産者の収入増にもつながる。だからこそ、カナダ輸出用の登録木1300本の病害虫の有無を2週間に1度調査するという、台湾や香港、東南アジアとは比べものにならない輸出のための高いハードルも乗り越えた。

 今年7月末、盛岡市下飯岡にあるリンゴ選果場近くに、リンゴから発生するエチレンを抑制するため1-メチルシクロプロペンでコーティングして、高い鮮度を保つスマートフレッシュ処理室と貯蔵室(延べ床面積約873平方メートル)を1億4700万円(国の2分の1補助)をかけて完成させ、準備を整えてきた。

 カナダ輸出に正式なゴーサインが出たのは9月25、26日の査察後。輸出業者などと具体的な調整を進める過程で、当初予定していた11品種を世界一の品種である「ふじ」を中心に3品種に絞って輸出する方向で調整が進められている。

 JAいわて中央がリンゴ輸出を始めたのは平成21年から。29年度実績はタイ、ベトナム、台湾向けに27・68トン(約1459万円)。30年度の目標はカナダの6・5トンを含め50トン(2400万円)。

 担当する営農販売部販売対策課(総合品目)の小笠原高雄課長は「将来の担い手を育てるためにも輸出をぜひ成功させたい」と意気込む。

 岩手のリンゴは木の背丈を低くした矮化(わいか)栽培がほぼ100%。規模は大きくないかわりに、十分に時間をかけて木の上で完熟させて味の良いものをつくるという品質の高さが信条で、輸出がもたらす成果が期待されている。

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