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佐賀・基山町と西鉄、未来の農業へ最新技術導入 ICT活用しトマト栽培

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温度や二酸化炭素の量などを調整する装置が備わるトマト栽培のハウス=佐賀県基山町
温度や二酸化炭素の量などを調整する装置が備わるトマト栽培のハウス=佐賀県基山町

 未来の農業への挑戦が、佐賀県基山町で始まった。西日本鉄道と全国農業協同組合連合会(JA全農)が共同出資する就農支援会社「NJアグリサポート」(福岡県大木町)が基山町と連携し、ICT(情報通信技術)を活用したハウスで、高糖度のトマト栽培に取り組んでいる。深刻な労働力不足を最新技術でカバーし、継続的な農業経営や地域振興につなげる。 (高瀬真由子)

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 プロジェクトの現場は、九州道鳥栖ジャンクション近くにある約2千平方メートルのハウス。大きな実を付けたトマトの苗木が、見渡す限りに広がる。

 ハウス上部には気象センサーが取り付けられ、気温や日照量に応じて、天窓やカーテンを開閉する。内部には二酸化炭素発生機もあり、光合成が活発になる午前10時ごろ、自動で発生量を増やす。

 ハウス内の環境を整えるため、各種機器がコンピューターの設定値に基づいて自動で稼働する。土を使わない水耕栽培で、糖度が上がるよう調整した養液も、自動で補給する。温度などを含め成長に必要な6つの要素をコンピューターで最適化している。

 一連のシステムは自動車部品大手のデンソーが開発し、NJアグリサポートが6千万円をかけて導入した。

 これだけの設備を整えたのは、関係者の「新しい農業モデルを確立したい」との思いがある。

 日本の農業は、生産者の高齢化と就農人口の減少に直面する。このハウスでも、作業に従事するのは主に高齢者で、人数も8人と少ない。

 農家の安定には収益性も鍵を握る。

 最新技術で高品質の作物が育てば、生産者の所得増だけでなく、農業に目を向ける若者を増やすことにもつながる。

 ICT採用にはコストがかかるため、プロジェクトを通じ、個人農家が導入しやすいシステムも模索していくという。

 昨年10月から栽培を始め、糖度7以上の甘いトマトが順調に育った。年間出荷量40トン、売り上げ1500万円を掲げ、今年11月に販売を開始した。

 NJアグリサポートの佐藤良一社長は「これからの農業は、いかに生産性を上げるかが重要。若い人にも農業に未来を見いだしてほしい」と語った。平井一秀農場長は「もうかるしくみがなければ農業は継続できない。このハウスで目利き力を持つ人材も育成したい」と語った。

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 基山町と西鉄は、プロジェクトにそれぞれ強い思いを持っている。

 松田一也町長は「4年前に(日本創生会議から)消滅可能性都市と指摘され、農業の後継者不足にも危機感がある」と語った。

 基山町の人口は約1万7千人。ピークの平成12年から2千人減り、今後の減少は佐賀県や全国より速いペースで進むと予測される。

 耕作放棄地は約5ヘクタールに上り、今回トマトを栽培する場所も、後継者がいない農家が今後の活用を模索していた。

 町は、栽培するトマトを「きやまトマッペ」というブランド名で特産品化する。販売促進に取り組み、ふるさと納税への返礼品にも活用する。

 一方、西鉄は沿線の活性化を命題としている。地域の衰退は鉄道やバスの乗客減に直結し、会社が手掛けるさまざまな事業に影響を及ぼす。

 NJアグリサポートは平成27年に設立した。大木町では高級イチゴ「博多あまおう」を栽培し、就農を目指す人を研修生として受け入れている。これまでに8人が独立した。

 西鉄の藤田浩展上席執行役員は「町の活性化は、地域でビジネスをする会社にとって重要なことだ。各地の特産品を九州や全国に広げたい」と語った。

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