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介護人材不足…職員充足率全国ワーストの千葉、ベトナム人に期待 

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 政府で外国人労働者の受け入れ拡大に向けた議論が進む中、千葉県では今後、深刻な人手不足が予想される介護分野の外国人人材受け入れに期待が高まっている。森田健作知事は20日、海外トップセールスでベトナムを訪れ、人材育成施設の視察や要人との会談を行い同国政府に介護分野の人材確保で協力を要請し、県独自の支援策の策定も表明した。ただ、介護人材の育成や受け入れの面で課題を指摘する声もあり、慎重な対応が必要になりそうだ。(永田岳彦)

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 「寒いから服を羽織っていきましょうね」。11月上旬の千葉市中央区の特別養護老人ホーム「淑徳共生苑」。同施設で働くベトナム人介護職員、グェン・ティトゥー・トゥィさん(26)は流暢(りゅうちょう)な日本語で声をかけ、ベッドで横になっている男性入所者を手際よい介助で起こし、車いすに乗せた。

 林房吉施設長によると、同施設で働く介護職員50人のうちベトナム人は現在4人。いずれも日本とベトナムが締結したEPA(経済連携協定)と両国間で結ばれた平成24年の覚書に基づき来日している介護福祉士の候補生だ。

 同施設では25年以降、5人を受け入れている。来日3年目のグェンさんは「外国で働きたかったし、日本は経済的に発展していて収入も多い。EPAはチャンスだった」と話す。

 林施設長は「まだ人材確保で困ってはいないが、将来は(外国人の介護人材が)必要になると考え、受け入れを始めた」と明かす。ベトナム人職員については「圧倒的に真面目。実務を行いながら資格を取るため必死で勉強している。日本人職員にも刺激になっている」という。

 ◆都内23区と給与に差

 今年5月に厚生労働省が公表した試算では、平成37年度時点の必要な介護職員数に対し、千葉県が確保できる見込みの割合(充足率)は74・1%で、約2万8千人の職員不足が見込まれる。全国の都道府県では福島県と並んで最も低く、介護人材の確保は大きな課題となっている。

 県によると、介護職員を養成する大学や専門学校では入学者の減少が続く。さらに仕事の大変さや給与が比較的低いことから、就職先は介護施設ではなく一般企業を選ぶ学生も多いという。加えて、介護保険サービス事業所に支払われる介護報酬が東京23区と千葉県では異なるため、「給与も東京23区の方が高くなり、同じ介護職なら千葉よりも東京でという人も多い」と県の担当者は人材不足の実情を明かす。

 県では、仕事のやりがいなどを若手介護職員に伝える「介護の未来案内人」の委嘱制度の導入などで人材確保を急ぐ。ただ、少子高齢化が進む中、日本人職員で全てをまかなうのは現実的ではない。森田知事も「介護人材はこれからさらに不足する。外国人への期待は高まっている」と強調。すでにEPAで日本に介護人材を送り出しており、技能実習生も多く送り出すベトナムに今後の活路を見いだしたい考えだ。

 ◆県独自の支援策急ぐ

 森田知事はベトナムからの介護人材の受け入れに向け、日本語の学習費用や家賃補助、生活面の悩み相談や交流施設の整備など県独自の支援策に「できるだけ早く取り組みたい」との考えを示し、具体化を急ぐ。横浜市が同国の一部自治体などと締結した介護分野での協力の覚書のようなものを、同国政府と結ぶことを模索している。

 ただ、課題もある。森田知事が視察したベトナム・ホーチミン市の人材育成施設「エスハイ ヨシダ カイゼンスクール」は、製造業向けの技能実習生の育成が中心で、介護分野での実績はほとんどない。

 同施設のレ・ロンソン校長は、介護分野の人材育成に前向きな姿勢を示した上で、「(介護は)製造業以上に対人関係や仕事が好きでやっていけるかを見極める工夫が必要だ」と慎重な姿勢をみせ、介護人材を送り出すまでには時間を要する可能性を示唆した。

 淑徳共生苑の林施設長は県独自の支援策を歓迎しつつ、こう指摘する。「介護は人の命に関わる仕事。外国人職員だけで仕事はさせられないし、サポートする日本人職員の負担も大きい。どの程度なら受け入れ可能かを考えないといけない」

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