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【学芸員ミュージアム談義】「生誕120年 児玉希望展」 セーヌ川の風景を山水画に

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 フランスを流れるセーヌ川。映画や小説で知られるこの美しい川を、水墨で、しかも絵巻に描いた不思議な作品があります。

 「仏蘭西(ふらんす)山水絵巻」は、日本画家・児玉希望(1898~1971年)が1957年の欧州滞在時に手掛けた作品で、希望の代表作として知られています。「山」「海」「河」の3巻から構成され、いずれも全長7メートルを超える大作です。

 モンブランの山景から始まり、地中海の描写を経て、セーヌ川へと続きます。最終巻「河」の巻では、やがて大海に注がれるセーヌの上空に虹が架かり、絵巻は結ばれます。

 ノートルダム寺院など、おなじみのパリの名所が描かれているので、絵巻を右から左にゆっくりと鑑賞していくと、まるでフランス国内を観光しているような気分を味わえます。

 そして見どころは何といっても水墨の表現。墨の濃淡をコントロールして、セーヌ川沿いの木々や水面の揺らめきを巧みに描写しています。作品タイトルに「山水絵巻」とあるように、フランス風景を東洋の山水画として捉えた本作は、現地で開催した個展で好評を博しました。

 児玉希望の代表作を紹介する本展では「河」の巻を展示中です。そのほか、コモ湖やモンブランなど欧州各地を水墨で描いた作品や、ローマで制作した金屏風(びょうぶ)なども合わせて展示しています。(県天心記念五浦(いづら)美術館学芸員 塩田釈雄)

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 ■メモ 企画展「生誕120年 児玉希望展」は北茨城市大津町椿の県天心記念五浦美術館で25日まで開催。月曜休館。

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