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閖上から消える震災の爪痕 保存断念、工場の解体始まる

震災遺構としての保存がかなわず、解体が始まった「佐々直」の旧本店工場=9日、宮城県名取市閖上地区(千葉元撮影)
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 東日本大震災から今月11日で7年8カ月となる中、700人以上が犠牲になった名取市閖上地区で、津波に襲われながら建物の構造が残っていた地元水産加工会社「佐々直」の旧本店工場(鉄骨2階建て)の解体工事が9日、始まった。工事の着手に先立って、社員やOBら約100人がお別れ会を開き、亡くなった5人の従業員らに黙祷(もくとう)をささげた。

 同社の社長、佐々木直哉さん(72)は震災当時、この工場で生き延びたという。「ここで助かったこと、7年数カ月がたってもここに残ってくれたことに感謝している」と話す。

 震災を伝える遺構が年々減少して風化が叫ばれるなか、「どうしても人は忘れやすく、忘れたいと思うもの。なんとかして伝えていきたい」と語った。

 元従業員の坪田瑠璃子さん(71)は「震災で亡くなった同僚を思い出した。つらいときも楽しいときも共にやってきた工場がなくなるのは悲しいが、集まった仲間たちを見て絆を感じた」と目を潤ませた。

 工期は2週間。名取市は震災遺構として一時保存を検討していたが、「民間企業の施設を遺構にするのはどうか」など異論が根強く断念した経緯がある。同地区で津波の爪痕を残す建物はほぼなくなる。

 一帯は市の区画整理事業で、「震災メモリアル公園」が整備され、来年5月に供用が始まる予定。

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