PR

地方 地方

和歌の原風景に思いはせ 伊丹に「猪名の笹原」再現、希少植物など育成

和歌にも詠まれた千年前の「猪名の笹原」を再現したモデル園=伊丹市瑞ケ丘
Messenger

 万葉集や小倉百人一首の和歌に詠まれ、現在の伊丹市周辺に広がっていたとされる草原「猪名の笹原」。そんなかつての風景を再現しようと、市職員や市民らが7年前から活動を進めている。当時生息していた希少な植物の育成などの取り組みが奏功し、市内の瑞ケ池公園に今年、約200平方メートルのモデル園が完成。当時の原風景に近づけたと、市民の間で話題を集めている。(中井芳野)

                   ◇

 「有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする」

 紫式部の娘、大弐三位(だいにのさんみ)が切ない恋心を詠んだ小倉百人一首の和歌に猪名の笹原が登場する。平安時代ごろまで伊丹市周辺に広がっていたとされる草原には、ススキやネザサなどが生い茂り、当時の人の間で景勝地として有名だったという。

 市によると、猪名の笹原を詠んだ和歌は平安時代を中心に100句に上るが、農地を拡大するため江戸時代にかなり縮小し、次第に姿を消したという。

 市は平成23年、古くから伝わる伊丹の原風景を後世に残すとともに、希少な植物が生息するきっかけになればと再生プロジェクトを考案。25年に市役所横の約20平方メートルの花壇を、万葉集や古今和歌集に登場するカワラナデシコやフジバカマなどを植えるモデル園とした。これらの植物の中には絶滅危惧種のキキョウも含まれており、市は「県立人と自然の博物館」(三田市)の協力も得ながら植物を増やして草原の再現を進めた。

 28年には、当時と同様に有馬山を望むことができる瑞ケ池公園(伊丹市瑞ケ丘)でのモデル園作りも開始。市民有志約10人が植え付けや除草作業などで活動に加わり、2年をかけて今春完成した。

 現在、瑞ケ池公園のモデル園には希少な植物を含む24種が育つ。有馬山を背景に、ススキなどが風になびく様子は千年前の原風景を連想させる。市の担当者は「当時に思いをはせるきっかけになれば」と話している。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ