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「牛一筋」の日常を歌集に 兵庫・新温泉町の中井さん発行 但馬牛と半世紀「家族同然」

初めての歌集を手に「但馬牛は宝。家族同然」と話す中井豊枝さん=新温泉町
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 新温泉町飯野の主婦、中井豊枝さん(83)が初の歌集「但馬牛と共に五十年」を発行した。結婚で牛の世話が生活の一部になった中井さんにとって「但馬牛は宝、家族同然」。歌集からは「牛一筋」の約半世紀の悲喜こもごもの実感が伝わってくる。

 中井さんは旧温泉町に生まれ、昭和31年、代々「牛飼い」と語る幸夫さん(85)と結婚。当時は自宅で但馬牛が約10頭、現在は家から離れた牛舎で、約200頭を世話している。

 40年代まで、但馬牛は農耕用としても活用され、但馬牛を自宅で大切に飼う農家も多かったという。中井さんは結婚で、「牛も家族同様、かわいく思えるようになった」といい、「口一杯青草くわえる牛たちの食いっぷり見りゃ労も惜しまず」と、牛の世話の喜びを実感する。

 しかし、当時、但馬牛の売値は安く、家族同様に育てた子牛の値が期待を大きく下回った。「牛の値の『安くて困る』と愚痴言えば答える仔牛のつぶらな瞳」と思うことも。

 友人の勧めで平成11年から短歌を始め、日常や牛飼いの仕事を中心に短歌で表現。「短歌なら、牛のことや家族のことを表現できる」と常に筆記具を持ち歩くようになった。

 しかし、長女が幼子を残し、30歳で亡くなる大きな悲しみも体験、「ようやくに二十歳に成りし孫娘亡母(はは)の晴れ着を纏いて門出る」と人生の喜びを表現できるようになった。

 「(悲しみは)牛がいたから乗り越えられた」。中井さんは現在も牛を飼育しながら短歌を続けている。

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