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東大大学院理学系研究科教授・佐藤薫さん、大型レーダーで地球環境探る

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 第60次南極観測隊(堤雅基隊長)は11月下旬に日本を出発し、オーストラリアで南極観測船「しらせ」に乗り込んで昭和基地に向かう。メンバーに名を連ねる福島県にゆかりがある東大大学院理学系研究科教授の佐藤薫さん(57)も準備に追われつつ、任務の遂行に意欲をみせている。

 佐藤さんの専門は気象学。南極に初めて設置された大型大気レーダー「PANSY(パンジー)」のプロジェクトリーダーで、現地では世界中で一斉に行う国際共同キャンペーン観測の研究代表者を務める。

 ◆昭和基地にアンテナ

 観測隊は2回目。前回は第44次の越冬隊員として、平成14年秋から16年春まで約1年4カ月赴き、主にPANSYの設置準備を行った。「『南極に大型大気レーダーを』と思い切った提案をしたら通った。研究者人生の半分以上をささげたプロジェクト」だ。

 1045本のアンテナで構成するレーダーの電波は、空気の「揺らぎ」にぶつかり反射する。その揺らぎを観測、地表から高度500キロまでの風の強さや向きなどを解析し、地球環境の変化の予測精度を向上させるのが狙いだ。

 ブリザードが吹き荒れる昭和基地に、1千本以上のアンテナを設置するのは至難の業。環境への配慮も欠かせない。現地をつぶさに見て設置工事の効率、耐久性、性能をギリギリまで突き詰め「毎秒60メートルの風速に耐える重さ18キロ以下のアンテナが必要」という結論を導き出した。

 ただ、現物を見るのは今回が初めて。「アンテナをバックに記念写真を撮りたい」と、PANSYとの対面を楽しみにしている。

 ◆小5まで小名浜に

 福島県いわき市小名浜で小学5年まで過ごした。理科系の教科が大好きで、中学時代は天気図にはまった。高校でも得意科目は物理や数学。東大理学部に進み、地球物理学科で気象を選択した。

 「南極への強い憧れはなかった」が、結果として研究のフィールドになった。越冬経験を「海氷上をスノーモービルで出かけたり、仕事の合間に電子ピアノを弾いたり、毎日楽しかった」と振り返る。

 今回、「上空90キロ付近の大気の大循環で、北極と南極の大気の状態はつながっている」との見方を裏付けるため、世界16カ所の大型大気レーダーでタイミングを合わせて同高度の風を測る国際共同キャンペーン観測の研究代表者を務める。「理屈と研究データがなかなか合わない。これをやり遂げたい」と語った。 (編集委員 芹沢伸生)

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