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【ZOOM東北】秋田発 新幹線トンネル整備構想行き詰まり 巨額公費に賛否

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 秋田新幹線の秋田、岩手の両県境で検討されているトンネル整備構想が行き詰まっている。課題は総額700億円もの財源確保で、JR東日本は国や周辺自治体の負担を望む。ただ「JRの全額負担が筋」との意見は根強く、人口減少率が全国ワーストの秋田県を中心に、税金が原資の公費も使う巨額投資には賛否両論がある。国土交通省は費用対効果や負担割合を含めた再協議を、JRと自治体側に求めている。(藤沢志穂子)

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 トンネルは秋田新幹線の田沢湖(秋田県仙北市)-赤渕(岩手県雫石町)の18・1キロの区間。山岳地帯を走りカーブや勾配が大きく雨や雪、強風などのたびに運休や遅延が発生。在来線を改良した「ミニ新幹線」で、他の新幹線に比べ速度や防災面で劣ってもいた。

 ◆異常気象への備え

 JR東日本秋田支社は平成27~29年にかけて現地調査を実施。近年、多発している異常気象への備えと防災強化の観点から同区間を約15キロに直線化、約10年の工期を想定し昨秋、県などに結果を報告した。トンネル整備後の秋田新幹線の最高時速は現行の約130キロから約160キロに上がり、東京-秋田間の運行時間は約7分短縮される。秋田県は「いま事業化の方針を固めておかないと、さらに先延ばしになる」(交通政策課)と焦りを募らせる。

 JR東日本は「自然災害による輸送障害が減少し、サービス向上や地域の活性化にも寄与すると想定するが、大きな収入増加に直接結び付く事業ではない」(広報部)とし、「当社単独負担は難しく公的支援をお願いしていく必要がある」(同)と説明する。人口減少が見込まれる地域への巨額投資は株主の理解が得られにくい事情もある。

 これに反発するのが岩手県だ。7月に周辺自治体などが設立した秋田新幹線防災トンネル整備促進期成同盟会への参加はオブザーバーとして距離を置く。「必要性は理解するが、地元負担ありきではなく、JR東日本の責任で整備すべきだ」(交通政策室)。県民利用の少ない秋田新幹線より、東日本大震災で被災した県内鉄道網の整備を優先してほしいとの思いも強い。

 公的支援で検討されているのが幹線鉄道の活性化に対する事業費補助の仕組み。国と自治体が鉄道会社に事業費の5分の1ずつを補助する。JR北海道の札沼線は、この仕組みを活用して平成21~23年度に46億円をかけて一部を電化、運行時間は最大9分短縮し利用者数も伸びた。ただ実現には第三セクターの設立が必要などハードルは高い。

 ◆費用対効果や負担割合

 トンネルの費用対効果では、開通効果を総費用で割った数値が「1・0」を超えるのが着工の目安。管轄する国土交通省鉄道局幹線鉄道課は「JR東日本と沿線自治体側で、どのようなニーズがあり、どのような計画で建設を進めていくのか、費用対効果や負担のあり方も含め課題を十分に詰める必要がある」(池光崇課長)と構想の再協議を促す。最近、秋田を視察した同省の次官経験者は「整備で秋田駅の駅ビルの利用者がどれだけ増えるのかなどの試算も必要」とみる。

 JR東日本には、秋田駅周辺の再開発など大型投資が進む一方、「在来線のサービスが低下している」との不満が地方自治体にある。築60年以上の大館駅の駅舎を、秋田県の観光拠点として建て替える計画では大館市とJR側の費用負担の折り合いがついていない。黒字企業のJR東日本がトンネル整備で公費の支援を求めるなら、税金を負担する地域住民の理解を得られなければ始まらない。

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