PR

地方 地方

【群馬県民の警察官横顔】(下)伊勢崎署生活安全課生活安全係長・東宮忠行(とうみや・ただゆき)警部補(57)

Messenger

 ■地道な捜査で違法風俗摘発

 「風紀の乱れは世の乱れ」-。生活安全部門の警察官の中で脈々と受け継がれている教えだ。勤続38年半のうち生活安全部門で16年半を過ごし、違法風俗店の取り締まりに奔走してきた。捜査のきめ細やかさはまさに“ベテランの味”と、上司から厚い信頼を寄せられている敏腕警察官だ。

 高校を卒業して間もなく、警察官だった叔父の影響を受け同じ道を志した。昭和55年に巡査を拝命、振り出しは桐生署での交番勤務。初めて制服を着て交番に立ったときは、市民からの視線に身が引き締まる思いだったという。自転車での巡回では、民家に上がり世間話をすることも。

 「市民の安全安心を守りたい」

 気さくな交流の中で、警察官としての使命感が醸成された。

 きめ細やかな捜査の礎となったのは、平成8年に着任した境署(伊勢崎署と統合)刑事課での経験だ。配属2年目を迎えたころ、暴力団組員が知人を棒で殴り殺す残虐な事件があった。被害者は自宅に帰されたが、間もなく死亡。誰が殴り、誰が自宅まで運んだのか。何度も現場へ足を運び、粘り強く聞き込みを重ねた。「長いリンチ、被害者をいたぶるような事件だった」と顔をゆがませ、当時を振り返る。

 その後、太田署の生活安全課で大規模な違法風俗店摘発に携わった。賃貸の部屋に客を呼び込む「アパート売春」だ。使われていたアパートは3カ所、3部屋。経営者2人と従業員4人を検挙した。昼夜を問わず容疑者を尾行し、現場を特定。違反行為が行われているか確かめるため、利用した客に事情聴取をする。

 「警察に尾行されていることが被疑者にばれたら“アウト”なんです」

 途中で犯人に逃げられれば、捜査は振り出しに戻ってしまう。検挙に踏み切るまでに3カ月以上を要した。

 犯人に気づかれないコツは、「とにかく目立たないこと」。一般人になりすますため、服装やしぐさにも細心の注意を払う。時には作業服を着て息を潜めることも。尾行捜査で犯人に気づかれたことは一度もないと胸を張る。

 何よりも許せないのが、女性に売春を強要する人身売買だ。「経営者が女性を食い物にしている。人身売買の温床となっている違法風俗店がなくなれば、卑劣な犯罪も減らせるはず」と、強い怒りをにじませる。

 最もやりがいを感じるのは、捜査を重ね検挙に踏み切るとき。「ようやく事件を終わらせることができる。町の環境を乱す違法風俗店をなくし、住民の方に『ありがとう』と感謝してもらえるのが一番うれしい」

 地をはうような捜査で地域の治安維持に全力を捧げた人生。充実したキャリアを振り返りつつ、照れくさそうに仕事への思いを語った。

                   ◇

 この連載は糸魚川千尋が担当しました。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ