産経ニュース

南葵文庫関連資料や散逸した名品…紀州徳川家伝来「お宝」集結 和歌山市立博物館

地方 地方

記事詳細

更新


南葵文庫関連資料や散逸した名品…紀州徳川家伝来「お宝」集結 和歌山市立博物館

 今年は紀州徳川家初代の徳川頼宣(よりのぶ)(1602~71年)が和歌山に入国してから400年目で、15代頼倫(よりみち)(1872~1925年)が創設した国内初の私設図書館「南葵(なんき)文庫」の公開から110周年に当たる節目であることを記念した特別展「お殿様(さま)の宝箱 南葵文庫と紀州徳川家伝来の美術」が15日、和歌山市湊本町の市立博物館で始まった。南葵文庫関連の資料や、散逸した紀州徳川家伝来の名品など計約300点を紹介している。

 展示の主なものでは、南葵文庫開設にあたり江戸幕府15代将軍の徳川慶喜(よしのぶ)が頼倫に贈った幅3メートルの直筆の扁額や、西洋音楽に親しんだ紀州徳川家16代頼貞(1892~1954年)が収集したベートーベンの自筆楽譜といったコレクションのほか、頼貞が財政立て直しのために11万円(現在の価格で4億4千万円)で売却した中国・南宋時代の作とされる水墨画の掛け軸「伝牧谿(でんもっけい) 江天暮雪図(こうてんぼせつず)」、南宋時代の銅製獅子型香炉、藩主や家族が使ったとされる黒漆塗り唐草蒔絵提(まきえさ)げたばこ盆などがある。

 頼倫が明治31年に現在の東京都港区の邸内に設立し、41年から国内初の私設図書館として一般公開を始めた南葵文庫の関連では、蔵書の他に当時使われていた机や椅子、司書の給料明細なども紹介。また、売却のためオークションにかけられた美術品の一部は落札価格を現在の価値と合わせて表示しており、当時の紀州徳川家の財力を感じることができる。

 夫婦で訪れた堺市の主婦、赤路千晶さん(56)は「紀州徳川家は現在の価値で何億円という文化財を持っていたとは」と驚き、同館の近藤壮(たかし)館長は「一度は紀州を離れた美術品を再び見ることができる機会。(頼倫と頼貞の)2人の殿様を通じて文化財を大切にする気持ちを持っていただければ」と話した。

 10月21日まで。開館は午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜休館(祝日や休日は開館し、その翌日に休館)。入館料は一般・大学生500円。高校生以下無料。問い合わせは同館(電)073・423・0003。