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福岡市議会が「宿泊税」条例可決 市長と議会「対県」共闘で関係修復

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福岡市議会が「宿泊税」条例可決 市長と議会「対県」共闘で関係修復

宿泊税条例案が可決後、集まった市議に一礼する高島宗一郎市長(右) 宿泊税条例案が可決後、集まった市議に一礼する高島宗一郎市長(右)

 福岡市議会は14日、ホテル・旅館の宿泊客に「宿泊税」を課すよう市に求める観光振興条例案を、賛成多数で可決した。市も導入方針を固め、同様に課税を検討する福岡県に対し、二重課税を回避するよう意見書を提出した。関係が悪化していた福岡市の高島宗一郎市長と市議会主要会派は今回、「対福岡県」で、共闘関係を結ぶ結果となった。(中村雅和)

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 同日午後2時半過ぎ。市議会ロビーで、自民、公明両党など主要会派の市議8人が、議場を退出する高島氏を迎えた。

 「スピード感をもって進めていただきたい」

 松野隆市議(公明党)が呼びかけると、高島氏は「議論を通して、理解が深まった。素晴らしい議論だった。さっそく市の方針を決めていきたい」と、一礼した。

 高島氏と市議会、特に最大会派の自民党市議団の間には、大きな溝があった。

 平成29年4月、民営化後の福岡空港への出資をめぐり、自民党市議団と高島氏の路線に大きな隔たりが生じた。両者の対立は、自民党市議団の分裂騒ぎにもなった。

 この日、ロビーで市長を迎えた市議8人のうち5人は、空港問題で市長と対立した。反高島派の筆頭と目された阿部真之助氏もいた。阿部氏と高島氏は、互いに歩み寄って握手を交わした。

 関係修復を象徴する場面だった。

 宿泊税導入はまず、福岡県が検討を始めた。29年3月に小川洋知事が「選択肢の一つ」と述べた。

 これに対し、福岡市議会は今年3月上旬、会派横断で勉強会を発足した。県に真っ向からぶつかるものだった。市によると、福岡県内の観光宿泊者の半分が、福岡市内の施設に泊まる。ある市議は「県が徴収すると、福岡市に還元されるのはわずかだ」と述べた。

 一方、市長の高島氏は「検討する段階にない」と慎重姿勢だった。ある市幹部は「議論を主導する県議会と戦う覚悟が、市議会にあるのか。本気度を見極めていた」と語った。

 市議会主要5会派は8月下旬、宿泊税導入を市に義務づける条例案で合意した。市も呼応する。今月12日、市幹部が委員会答弁で、導入に初めて前向きな姿勢を示した。

 県と市のどちらが、宿泊税という財源を手に入れるか。市長と市議会は、「対県」で共同戦線を張り、結果として距離が近づいたといえる。

 市は14日午後、市長名で福岡県側に意見書を提出した。

 「宿泊税導入が決定した福岡市内で、県も宿泊税を課せば、二重課税で、宿泊者や事業者に過重な負担がかかる恐れがある」

 福岡県は、市に出し抜かれた格好となった。