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熊本地震被災地での外国人技能実習生の対象外作業が問題化

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熊本地震被災地での外国人技能実習生の対象外作業が問題化

フィリピン人技能実習生のサマニエゴさん(手前)が従事した熊本県の復旧作業現場(本人提供) フィリピン人技能実習生のサマニエゴさん(手前)が従事した熊本県の復旧作業現場(本人提供)

 平成28年4月に発生した熊本地震の被災地で、復旧作業に従事する外国人技能実習生が目立っている。27年10月に約2700人だった熊本県内の実習生は、昨年10月に約4500人と急増した。人手不足が背景にあるとみられ、対象外の作業をさせられるといった問題も表面化している。

 熊本県によると、地震で約4万3千棟の住宅が全半壊した。工事が必要な道路や河川の損壊箇所も4千以上確認されたが、今年3月時点で復旧したのは半数に満たず、土木・建設作業員の需要は依然として高い。

 熊本労働局によると、建物解体や鉄筋の組み立てといった建設・土木関連工事の有効求人倍率は、28年4月の3・31倍に対し、今年4月は6・71倍と倍増した。

 熊本県益城町で建設会社を経営する男性は、地元の下請け業者に委託した建物解体で、作業員の多くを東南アジア系の外国人が占めているのに驚いた。その後、県外の業者が参入する中で、危険な重機を無資格で扱わせるなど、悪い環境で働かせられる外国人の存在も耳にするようになった。

 フィリピン人技能実習生のサマニエゴ・ビエンベニド・アパブラさん(29)は今年6月、建物解体など内容によっては実習計画の対象外とされる作業をさせられ、残業代の一部約63万円も払われなかったとして、同県御船町の建設会社や、この会社を紹介した岡山市の監理団体を相手取り熊本地裁に提訴した。サマニエゴさんは「都合の良い労働力と思われている」と憤った。

 在留外国人の支援団体「コムスタカ 外国人と共に生きる会」(熊本市)の中島真一郎代表は「実習生の労働実態は把握が難しく、声を上げられない状況だ。行政はもっと指導を徹底すべきだ」と訴えた。

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【用語解説】外国人技能実習制度

 外国人を日本の事業所で受け入れ、習得した技術を母国の経済発展に役立ててもらう制度で、平成5年に創設。期間は最長5年で、職種は建築大工や農業、介護など77種に上る。国籍別ではベトナム、中国、フィリピンの順に多い。日本側の受け入れ窓口となる監理団体は実習が適切に実施されているか確認、指導するが、対象外の作業や賃金不払いといった問題が起きている。昨年11月施行の技能実習適正化法で、人権侵害への罰則を盛り込んだほか、監理団体を許可制とした。