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西日本豪雨で相次ぐ花火大会中止…広島・牛尾煙火製造所、在庫1万発も…来夏見据え

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西日本豪雨で相次ぐ花火大会中止…広島・牛尾煙火製造所、在庫1万発も…来夏見据え

 西日本豪雨の被災地では今夏、風物詩の花火大会が相次いで中止に追い込まれた。県内で唯一、製造から打ち上げまで手掛ける牛尾煙火製造所(広島市西区)は、今夏用に製造した花火約2万発の半分が行き場を失った。工場も被害を受けて経営の厳しさは増すが、社長の牛尾彰彦さん(52)は「地元製の花火は絶やせない」と来年夏へ向けた準備を始める。

 豪雨に伴う交通網の寸断や被災者への配慮を理由に、納品予定だった大小約60の大会なども半数が中止となった。大量の在庫を抱えることになり、費用回収の見通しも立たない。

 無事に開催された大会では、牛尾さんは打ち上げなどの作業を普段通り粛々とこなした。

 「深刻な被害を受けた人に花火がどんな意味を持つのか。でも、何らかの癒やしになればありがたい」

 創業約110年の牛尾煙火も熊野町にある工場が被害に。近くの川が氾濫し、敷地内の道路や作業場の基礎部分が流失した。

 復旧作業が続くが、9月から来シーズンに向けて花火の製造準備に入る。

 かつて東京で充実した会社員生活を送っていた牛尾さんは、先代の父の病気を契機に苦渋の決断で4代目として地元に戻った。

 「やりたいと思ったことはない。でも途切れさせるわけにはいかない」。家業を継ぐことを決めた時の使命感を思い返す。花火を上げた後に聞こえてくる観客の歓声も、逆境の事業継続を支えるという。