産経ニュース

【ZOOM東北】山形発 市をキャンバスに見たてた芸術祭 まち歩きで出合う作品群

地方 地方

記事詳細

更新

【ZOOM東北】
山形発 市をキャンバスに見たてた芸術祭 まち歩きで出合う作品群

踊る人、座る人など、自分の部屋で思い思いに過ごす「夜子」の動きが作品になる 踊る人、座る人など、自分の部屋で思い思いに過ごす「夜子」の動きが作品になる

 文翔館の中庭では、床に部屋の間取りを描き、女子学生が自由気ままに自分の部屋で過ごすさまをアートにした「夜子のダンス」、館内では人気絵本作家のミロコマチコのカモシカにも出合える。山形の伝統工芸「笹野一刀彫 鷹ぽっぽ」もあった。

 文翔館の外では創業100年を超える仏具専門店「長門屋」の蔵をリノベーションし、映像作品を上映。蔵の手前には阿弥陀如来が安置される慈光明院もあり、まちに残る歴史遺産を発見する機会にもなる。向かい側の「gura」では、アートな表紙を付けた本を販売するブックカフェ「7次元」もある。

 ◆埋もれている仏像に光

 山形市上桜田の東北芸術工科大キャンパスでは「山のような100ものがたり」を開催。個々の作家が「山形らしさ」を求め、これまで意識されてこなかった所に焦点をあて、民俗的な資料と芸工大で生まれたアートが入り乱れる。まずユーモラスにも思える大江町の雷神社の「風神雷神像」が出迎え、現代も村山地方に残るムカサリ絵馬や白鷹町の木造御沢仏像など、埋もれている仏像にも光を当てた。

 異彩を放つのが芸工大、三瀬夏之介教授の「ぼくの神さま」。奈良県出身の三瀬は、奈良の大仏をずっと「ダサい」と思ってきたが、その存在に救われたときの思いを込めて描いた。奈良の大仏と同寸の大仏の目が見る者を圧倒する。

 東日本大震災後の平成24年、「アートでまちを元気にできないか」と、同大の根岸吉太郎理事長の提案で始まったビエンナーレ。人が減り、まちに活力もなくなる中、アートがあるだけで、気づかなかったまちの風景を知り、まちの見え方も変わる。そんな芸術祭になっている。

このニュースの写真

  • 山形発 市をキャンバスに見たてた芸術祭 まち歩きで出合う作品群
  • 山形発 市をキャンバスに見たてた芸術祭 まち歩きで出合う作品群