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成田の住職、自殺防止に奔走 「孤立しない、させない」社会訴え

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 年間2万人以上が自殺する現状を変えようと、昼夜問わずに電話や面談での相談を精力的に行うのが長寿院=成田市=の住職、篠原鋭一さん(73)だ。本格的に活動を始めた平成7年以降、相談を受けたのは1万5千人以上にのぼる。NPO法人「自殺防止ネットワーク風」の理事長をつとめる傍ら、同院を中心に、10日の世界自殺予防デーから1週間、県内の寺院など6カ所で集中的に相談を受け付け、一人でも多くの人を救うために奔走する。(永田岳彦)

 ◆高齢化社会の裏で

 「母の生活保護で母を介護をして生活しているが、介護に疲れ、死にたい」

 8月下旬、篠原さんの元に東京都内に住む40代男性から相談があった。近年はこうした介護疲れや子供が長年引きこもり、将来を悲観した高齢の両親からの相談など「高齢化社会に起因するものが増えた」と感じているという。

 自殺志願者からの相談は社会や世相を反映するという。バブル崩壊直後はリストラやそれによる金銭苦を訴える中高年男性からの相談が多かったが、現在は高齢化社会に起因するものや「生きている意味が分からない」という10~20代の若者からの相談が多いという。

 自殺を図る人の多くは「頭の中には本当は生きていたい」という気持ちがあると篠原さん。相談では極力直接会うことを心がけ、1時間以上、ただ相手の話を聞くこともしばしばだ。「全ての人が寿命を生ききる社会にしたい」と力強く言い切る。

 ◆後を絶たぬ相談

 今ではこうした活動を当たり前にする篠原さんの大きな転機は42歳の時。くも膜下出血で倒れ、苦しみのあまり病院の屋上から自殺しようとしたが、居合わせた人に止められた。「残された私の命を何に使うか考えた」といい、廃寺同然だった長寿院で住職となり、同院を再建し、自らのように自殺を考える人を一人でも減らそうと相談を始めた。今では「自殺志願者の駆け込み寺」と言われ、相談に訪れる人、メールや電話、FAXでの相談が後を絶たない。

 自殺の大きな原因とみるのが社会や家族、組織での孤立感だ。「孤立をしない、させない。お互いが孤立しない環境をつくらないといけない」と訴える。

 今では、心療内科の医師と連携し、同院を改築してそうした病院に通う患者も利用できる施設をつくる計画も進む。「(自殺志願者からの相談は)私の人生で与えられた役割。死ぬまで続けますよ」と話し、今日も相談を受け続けている。問い合わせは同院(電)0476・96・2204。

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