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西鉄のキッチン列車、来春に向け改造中 筑後の伝統工芸に光

内装に使われる城島瓦を作った渋田良一氏(左)と阪本尚孝氏
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 西日本鉄道は31日、天神大牟田線に来春導入する新型観光列車の車両改造現場を、報道関係者に公開した。内装には、瓦や竹細工など、沿線である筑後地方の伝統工芸品が使われており、職人は「筑後の力を発信したい」との思いで、新たな仕事に挑戦した。観光列車は、衰退傾向にあった産業に、早くも活力を与えている。 (高瀬真由子)

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 列車名は「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(ザ レールキッチン チクゴ)」。既存の6050形を活用する。改造作業は、福岡県筑紫野市の西鉄筑紫工場で進んでいる。現在は車内の壁を取り付けている。

 天井や壁には、福岡県八女市の竹編みや、同県久留米市の城島瓦を採用した。

 城島瓦は、佐賀・有田焼と同じ400年の歴史を持ち、明治・大正期には、久留米周辺に200もの生産工場があった。しかし、需要の減少で、廃業が相次ぎ、現在7工場しか残っていない。

 西鉄はこのうち、「渋田瓦工場」の渋田良一代表(67)に、車内の壁面や床にタイルのように使う瓦製作を依頼した。

 西鉄の注文は、厚さ9ミリと通常より薄く、平行四辺形など形もユニークな瓦だった。

 渋田氏は、退職した職人や瓦製造の組合員にも協力を求めた。地元で採れる粘土を原料に、一枚一枚、手作業で成形した。

 釉薬を付けずに、焼く温度や表面の磨き方を変えることで、さまざまな色の瓦を作りあげた。

 渋田氏は「瓦作りは消える職業の一つになりつつあり、時代の流れと思っていた。それでも、列車というこれまでとは違った空間で、私たちの瓦に触れてもらい、乗車した家族の思い出になるなら、職人冥利に尽きる。孫が『おじいちゃんが作った瓦だ』と言ってくれる日が楽しみです」と語った。

 技術支援をした福岡県工業技術センターの専門研究員、阪本尚孝氏(54)は「チャレンジの中で知恵と技を積み重ね、伝統がつながる。作業を通じて、ものづくりの心意気が、城島瓦にあると確認できた」と話した。

 天井に取り付ける八女の竹編みも、職人の手作りだ。風合いを残しながら不燃加工を施すのに、関係者が尽力した。

 西鉄初の本格観光列車は、人口減少や産業の衰退に直面する地域に、光を当てたいという思いが詰まる。観光列車プロジェクト担当課長、吉中美保子氏(46)は「職人には何度も作り直しをお願いしたが、全力で応えてくれた。ものづくりに真摯(しんし)に向き合っている。こんなすてきな人が守っているものを、残していきたい」と語った。

 キッチン列車の車内では、こうした沿線産業の現状や職人の思いも、乗客に伝えるという。西鉄は、10月に予約開始日や料金を発表する。

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