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JR九州社長、バス転換を示唆 日田彦山線「方式見直しも」

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JR九州社長、バス転換を示唆 日田彦山線「方式見直しも」

九州の地方路線の多くが、人口減少に伴い利用者が減っている=大分県日田市の日田駅 九州の地方路線の多くが、人口減少に伴い利用者が減っている=大分県日田市の日田駅

 JR九州の青柳俊彦社長は27日の記者会見で、昨年7月の九州北部豪雨で被災した日田彦山線の将来像について、「モード(方式)の見直しもある」と述べ、沿線自治体の対応によっては、鉄道を復旧せずに、バスなどに転換する可能性を示した。同線をはじめ、九州の鉄道路線は岐路にさしかかっている。(村上智博、高瀬真由子)

 日田彦山線は、添田(福岡県添田町)-夜明(大分県日田市)間で不通が続く。JR九州は福岡、大分両県、地元3自治体と、復旧費用や復旧後の維持方法について協議している。

 関係者の間で、復旧そのものに異論はない。だが、復旧後の姿については隔たりが大きい。

 JR九州によると、不通区間の収支は、被災前の28年度で2億6千万円もの赤字だった。

 青柳氏は鉄道での維持には、自治体の支援が必要との認識を示す。具体的には、沿線自治体が鉄道施設を所有・維持し、運行をJR九州が担う「上下分離方式」の提案を打ち出した。

 これに「上下分離方式での復旧は考えていない」(福岡県の小川洋知事)と、自治体は反発する。負担が発生するためだ。

 とはいえ、沿線人口が減少する中で、2億6千万円もの赤字を解消するのは難しい。

 青柳氏はこの日の記者会見で「きちんと維持していく方策が確認できれば、鉄道でやりたい。だが、鉄道を安全に維持するにはコストがかかる。真っ向から『一銭たりとも出さない』と言われるのは厳しい。モードの変更もある。BRT(バス高速輸送システム)などがある」と述べた。

 負担議論を回避しようとする自治体の姿勢に、業を煮やしたといえる。青柳氏は「話が進まないようであれば、『鉄道維持は難しい』と地元の皆さんがおっしゃったという認識になる」とも語った。

 日田彦山線は、JR九州が抱える赤字ローカル線の1ケースに過ぎない。

 青柳氏は7月の記者会見で「輸送密度が4千人未満のところは、鉄道維持が非常に困難。維持できないなら、地元の補助をいただくか、鉄道以外の交通機関を提案することになる」と述べた。

 輸送密度は平均通過人員ともいわれ、1日1キロ当たりの乗客人数を示す。

 JR九州が公表した資料によると、平成29年度では新幹線・在来線計22路線61区間のうち、4割の25区間が「分水嶺」である4千人を下回った。

 九州南部を走る吉都線(474人)や日南線(774人)など路線全体で1千人に満たない地域もある。JR九州が発足した昭和62年度と比べ、吉都線では70%減、肥薩線では65%減となった。

 JR九州の平成29年度決算で、鉄道事業は事実上20億円の赤字だった。同社は今年3月、1日当たり計117本を削減するダイヤ改正を実施した。鉄道の採算性向上が目標だが、社内には「鉄道網の抜本的な見直しを進めなければ、会社がもたない」との声が根強い。

 ただ、交通機関は市民生活を支える重要なインフラだ。将来像を議論するには、自治体など関係者間での課題意識の共有が前提となる。

 日田彦山線の収支データについても、自治体側からは「一部区間を切り取っただけで、全体はどうなのか」(福岡県の担当者)と疑問の声も上がった。

 JR九州は増収増益を続ける。経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な「三島会社」として初めて上場し、観光列車の人気など明るい話題も多い。周囲からは鉄道事業の厳しさは見えず、JR九州への批判が高まりやすい。それだけに、路線収支など具体的なデータの公表が、理解を得るのに欠かせない。

 鉄道をめぐっては、JR北海道が10路線13区間について「単独では維持困難」と表明。政府は今年7月、31、32年度で総額400億円超を支出し、7路線8区間の維持に充てるなどとした支援策を決定した。JR北海道によると、残る3路線5区間のうち2路線2区間は、廃線・バス転換の方針で協議している。