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町工場のホイッスル、夢はW杯採用 ふじみ野「小柴製作所」がラグビー用に開発

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 サックスやフルートなど楽器の部品加工を手がける小柴製作所(ふじみ野市、小柴四郎社長)のラグビー用ホイッスルが「吹きやすい」と注目を集めている。かつて主要取引先だった大手楽器メーカーの撤退で「これからどうしたらいいのか」と途方に暮れていた矢先、何気ない一言がホイッスル開発につながり、社員9人の町工場は窮地を脱した。今や事業の一つの柱に成長しそうな勢いだ。

 ◆何気ない一言がヒント

 ホイッスルの製造を担当したのは小柴社長の長男、一樹さん(39)。家業に入った29歳のころ、リーマン・ショックが直撃。その後、主要な取引先の工場が撤退する衝撃のニュースが飛び込んできた。「取引先からは『関係ないから大丈夫』と伝えられ、安心していたが、まさかの工場撤退。信じられなかった」と振り返る。

 この影響で事業縮小を余儀なくされた。そんなころ、小中学生にラグビーを教えている社員が仲間との会話を打ち明けた。「『ホイッスルをつくれないか?』と聞かれた」。何気ない一言がヒントになり、技術屋の血が騒いだ。

 ◆吹きやすさを追求

 2年前から試作を始めた。国内外のメーカーのホイッスルを集め、解体して研究した。半年後、試作品が完成したが、「吹いた息が抜けて音が頼りなかった。100円ショップの笛の方がよっぽどいい」。

 失敗にもめげず、試行錯誤を重ねた。ただ、「どんなホイッスルが正解なのか分からなくなった」という時期もあった。国内で使われているラグビー用ホイッスルの8割が海外製。息をたくさん使って音を出すのが特徴で「1試合吹き続けると、頭が痛くなる」という声も聞いた。そして一つの結論に達した。

 「楽器の部品加工を長年やってきた小柴製作所としての音、それに吹きやすさを追求したホイッスルをつくるべきだ」

 ◆大反響で社員が元気に

 理想の音を求めて空気の出入り口の調整を1ミリ単位で行うなど悪戦苦闘したが、昨年5月に完成、同年9月に発売した。7500円と4800円の2種類用意した。700個近くを販売し、ヒントを与えてくれた仲間は「『多く息を吹き込まなくても、いい音が出る』と喜んでくれた」という。

 ラグビーにとどまらず、体育の先生や消防士、電車の車掌からも問い合わせがある。「これだけ反響があるとは思わなかった。何よりもうれしいのは社員が明るく元気になった」と笑みをこぼす。今後は事業の柱の一つとして力を入れるとともに、夢も膨らむ。

 来年、日本で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)。「小柴のホイッスルを大会のレフェリーに使ってもらうのが今の大きな夢だ」 (大楽和範)

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