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【千葉聞き歩き】北方領土と千葉

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 先の大戦直後の73年前から、日本固有の領土である北方領土(歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島、国後(くなしり)島、択捉(えとろふ)島の4島)は、旧ソ連やロシアに不法占拠されている。8月は返還運動の「全国強調月間」だ。これにあわせ、県が千葉市内で企画したパネル展を見学した。そこで北方領土と千葉の交流の歴史を初めて知った。

 160年前には、安房勝山藩(現在の鋸南(きょなん)町)の捕鯨家が箱館奉行の命で、国後島、択捉島で捕鯨漁場の調査をした。大正から昭和18年ごろまでは、富津や勝浦などの潜水夫がホタテ貝漁で国後島や歯舞群島に出稼ぎに行ったという。

 6月10、12日の本紙千葉版に、択捉島への自由訪問に参加した元島民で千葉市の無職、伊藤晶さん(享年78)が帰りの船で死亡した記事が掲載された。そこでは触れられていないが、伊藤さんは同市議会の元副議長で、市議を4期務めた。兄の光作さん(83)や3人の妹らと訪問に参加していた。

 秋田県在住の光作さんによると、一家は択捉島南部の太平洋側のビョーノツ地区などで暮らしていたが、昭和23年、島を追われた。両親はタラやノリ漁、ウマの繁殖で生計をたてていた。光作さんや晶さんはこれまで20回以上、北方領土を訪れたが、6月は幼少期を過ごした同地区を初めて訪問する予定だった。しかし、波が高く、同地区への上陸は断念せざるをえなかった。

 「弟は残念がっていました。1度は行ってみたかったはず。私たちにとって、間違いなく故郷ですから」

 北方領土の面積(約5003平方キロメートル)は、千葉県(約5158平方キロメートル)とほぼ同じだ。千島歯舞諸島居住者連盟(札幌)によると、千葉県に住む元島民は108人にのぼるという。

 千葉とほぼ同じ広さの日本の領土が占拠され、100人超もの同県の人たちの故郷が今も奪われている。県民にとっても、北方領土問題は遠い地域のことだと済ませられる話ではない。パネル展は22~28日、市川市の県立現代産業科学館でも開催される。 (斎藤浩)=随時掲載

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